ときタマ日記 07年12月04日



山茶花



サザンカ


 山渓の最新号に「芦生の森が死んでゆく」という記事が載っている。松枯れは既にニュースにもならない何処にでもある当たり前のことになってる。その被害は私のような行動範囲の狭い人間にも身近に幾らでも確認できる。被害という範囲を超えて場所によっては全滅である。全滅してしまえばそれ以上被害は起こらない。ニュースにも成り様が無く、直接利害関係のない人間には、問題は解決されたと同じことになってしまう。人の世には似たような話がいろいろあって、空恐ろしいくまたつらいことである。
 芦生の森(京都)は松ではなくナラ科(コナラ、ミズナラ、シイ、カシ類)の木が大量に立枯れしているという。直接の原因はカシノナガキクイムシとその虫が運ぶ菌(カビのような、酵母が成虫や幼虫の食料になるという)この菌によって木は目詰まりを起こし水不足で枯死する。このキクイムシが木に入るとフラスという粉のような木屑が木の下に堆積することでわかると言う。さらにこれは芦生に限ったことではなく1980年以降、被害は日本海側を中心に南下するように日本全国に拡大し続けているという。松枯れと同じく防止する有効な手立てはないそうである。環境が変れば植生も変わるということだろうか。何事によらず警鐘は鳴り続けている。しかし人の対応は遅れ続ける。そして滅びてしまえば解決されたのと同じことと、残った人は思うのだろうか。


 先日、夏の間に伸びた庭木の枝を切ったり、草や落ち葉を掃除していたら、山茶花の根元にそのフラスが堆積しているのに気付いた。良く見ると木に1mmもない小さな穴がありそこから落ちている。穴の周りを鎌の先でほじったら何と樹皮が簡単に剥がれ、その下が5mmくらいの深さで環状に奇麗に喰われている。カシノナガキクイムシとは関係ないと思うが虫は見当たらない。その木屑を払って行ったら幹を一周してしまった。それが何箇所もある。これでは木は生き残れない。気付くのが遅かった。最近葉の色が黄色っぽくなったのに早く気付いてやるべきだった。この木は元は生垣として植えられたもので、ブロックに変えたとき、元気なのを一本植え替えて残したものだった。もう植えてから25年位くらいになるだろうか。毎年花を一杯つけて楽しませてくれたのに、今年も健気に花を一杯つけたのに、おそらく今年が最後の花だろう。その気で見ると妻の自慢のカルミアも、ハナズオウの根元にも同じようなフラスが落ちている。こちらは何処に穴があるのかまったく分らない。ハナズオウは落葉しているので分らないが、カルミアの葉は黄色く元気がない。来春花が咲くまで持つだろうか。何れも同じ頃に植えた木で淋しいことである。



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