2011.05.19(木) 篭山の尾根 赤城山


 誰かさんに奨めて頂いて赤城の篭山の尾根を歩く。鳥居峠のアカヤシオの小山が篭山である。2万5千分の1の地図に名前が無いが、上毛新聞社の「探訪ガイド 赤城山」という古い本の地図にはこの山名が入っている。改めて確認したのは2008年のこの時期、利平茶屋森林公園を歩いた時で、僅か3年前、それまで名前を気にしたこともなかったし、登山コースとしては整備されていないようなので、歩く対象として考えたこともなかった。最近はこの時期、かなり歩かれているようだ。

 コース:鳥居峠駐車場9:45→篭山10:00→派生する尾根の頭10:15-10:55→駒ケ岳登山道11:30→駒ケ岳登山口12:15→覚満淵のベンチ12:30-13:55→鳥居峠駐車場14:10 (所要時間4時間25分)
篭 山


 アカヤシオの時期にしか注目されないこの篭山、利平茶屋側から見れば小さくても独立して目立つ三角形の美しいピークである。おそらく赤城山を訪れる人たちが、水沼の駅から利平茶屋経由で鳥居峠に歩いて登っていた当時には、、鳥居峠の位置を示すよい目印だったに違いない。 遠くから見て自分の行くところを確認し、近付いては、山陰から現れるこのピークを何度も見上げながら、鳥居峠への道を登ったのだろう。


 登山靴に履き替えていたら、展望台の方から隣の車に戻って来た3人連れ男性の一人と目があった。挨拶したら、「下の花まで10分くらいで下れるかね。」と云う。「10分じゃ無理だけど歩きやすい登山道がちゃんとあるよ。」と答えると、「おれたち写真やってるからさあ、こんなピーカンの写真撮っても駄目なんだよ。霧かなんか巻いて雰囲気がないとね。明日朝暗いうちに来てみるかな。」という。「それぞれ大変だね」と大笑いしたが、そのピーカンの花を目指して三脚派から携帯の小母さんまで岩の間を登って行く。我々も。
花の中へ


地蔵岳とアカヤシオ 凄いね!


篭山の尾根


 篭山の尾根に抜けてしまうと、アカヤシオは全然ないので誰もいない。静かでさわやかで、病み上がりみたいな今には最適な道だ。 しっかりした踏み跡をたどってなだらかな尾根を登る。15分も登ると右手にアカヤシオの尾根が見えてくる。またまたアカヤシオ満開の尾根を独占して写真を撮りのんびり楽しむ。


   
隣の小さな尾根もアカヤシオに縁どられている。    


   
凄いねえ!!    


 こんなにいい天気なのに、誰も居ない。折角妻が用意したお弁当を重いから下りてからにしようと、置いてきてしまったことが悔やまれる。コーヒーまで入れるつもりで用意して来たのに、せめてお茶と飴玉で我慢しよう。 


 
大喜び    


   
 これ位の花付きが山の花らしいかな    


小鳥も遊びにやって来る


 この尾根にも登山道のようにしっかりした踏み跡があって、そのまま下れば何処へ下るのか気になった。後で駒ケ岳からの道への合流点で、ちょうど下から鉄階段を登って来た単独の男性と立ち話したが、その人の話だと利平茶屋へ下ると言う。”えっ、全然方向違うじゃん”と半信半疑だったが、後で地図を見たら確かにこの尾根の下の先は利平茶屋のあたりにある。よく行く赤城山の山の配置など頭の中に入っているつもりが、初めて歩くところだと、いとも簡単にだまされる。侮ってはいけないなあ。


薄い花色も悪くない


 


 写真を撮りながら下って行くと限が無いので、程々の所から登り返す。その間誰にも会わなかった。 


 篭山の尾根に戻り、駒ケ岳側にまた尾根を登る。木立の間から眼下に覚満淵が見え、覚満淵から何時も見上げていた稜線伝いに歩いていることが分かる。大沼の見える大洞に下る分岐まではかなりありそうだ。


尾根の大木 尾根に続く道


 


 小笹の中に続く気持ちのいい道をたどる。振り返ると先ほど歩いた、アカヤシオの尾根が見える。
 最期の登りはかなり勾配がある。踏み跡も薄くなり、鹿かカモシカか蹄の跡の残るけもの道が無数に交錯するが、尾根を外さなければ、道は続いている。ひと登りで駒ケ岳登山道との合流点に出た。
アカヤシオの尾根


 


 合流点に着いたら、ちょうど鉄階段を登って来た体格のいい単独の男性と一緒になった。我々が歩いてきた道を見て、「あれ、立派な道になっちゃったね。」という。以前はトラロープが張られて立ち入り禁止になっていたそうだ。山に詳しい話の好きな方で日光や足尾周辺の山や花の情報を頂いた。立ち話を始めた頃、我々が歩いたコースから、男性が一人出てきて分岐点のベンチで汗をぬぐっていた。  
     篭山がかなり下に見える。


   駒ケ岳・黒檜登山道を下る。雪の無い時期にこの道を下るのは何年振りだろう。僅かだがアカヤシオも咲いている。登山道を外れ、アカヤシオの咲く駒ケ岳側の急な岩場の下へ、ガサガサと廻り込んで行く、4人ほどのパーティを見た。
大沼・小鳥が島とアカヤシオ    


 アカヤシオは周りの木々の芽吹きより先に咲くが、それ以外の花もない訳ではない。これから盛りを迎えるオオカメノキや、咲き残った山桜など。そんな花をのぞきながら下っていたら、同年輩の単独の女性が登って来た。この方も話し好きで妻と立ち話。やはり日光や足尾周辺の花の山情報を教えてくれた。


 
チビカメノキ   咲き残った山桜


 山を下って覚満淵を歩く。快晴なのに暑くなく、寒くなく、本当に5月らしいいい天気。覚満淵はたまに一人二人歩く人がいる程度で、ほとんど貸し切り状態。木道の真ん中あたりに二つ並んだ木のベンチが気持ちよさそうで、ここで昼食に決めた。妻を待たせて鳥居峠の駐車場までお弁当の入った自分のザックを取りに行く。鳥居峠はかなりにぎわっていて花の下を登り下りする人が何人も見えた。


 
覚満淵と歩いた尾根をスケッチ   さあ帰ろう


 お弁当を広げていたら、赤城道路側の歩道から母娘らしい二人ずれがやって来て、挨拶したらお母さんの方が気さくな人で、また立ち話。今年はアカヤシオが10日位遅いとか、花付きがいいとか、小沼のシロヤシオの様子とか。
 誰もいなくなって珍しくスケッチブックを広げたら、今度は山の上の合流点であった男性と再会、またしばらく立ち話。庚申山へのアプローチの方法とか、デジカメのこと、赤城山の熊さんのこととか。”赤城山は何時も歩いているのでまた会いましょう”と言いながら駐車場の方へ歩いて行った。
 こんなにいろいろな人と会話する日は珍しい。他に人がいないから気にならないし、なによりこの天気と時間のゆとりが話をする気分にさせるのだろう。
 木道をさっきの母娘が今度は小さな犬を連れた旦那さんらしい人と三人で歩いてきた。奥さんが”今日はこの犬を連れて長七郎に登ったのよ”、と我々に声をかけて通り過ぎて行った。多分あの犬、旦那さんが抱いて登ったんだろうな。最近は犬を抱っこしたり、ベビーカーに乗せて散歩している人がいるね。




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