04.10.01(FRY) 大源太山 上越国境


 9月の末、北アルプスの高地からは紅葉の様子が伝えられているのに、天気は一向に安定しない。一週間先の天気予報は次々裏切られ、上陸した台風の数は新記録だと言っている。仕方なく北アルプスの紅葉はあきらめて、晴れ間ののぞいた10月1日、谷川連峰の越後側の山、大源太山に二人で出かけた。
 谷川連峰には大源太山が二つ有る。一つは今回の清水峠と蓬峠の間の、七ツ小屋山の尾根続きにある大源太山で、もう一つは三国峠の三国山と平標山の間にある。

コース:旭原の林道終点登山口9:55→北沢・ムラキ沢出合い渡渉点10:35→大源太山山頂13:25-14:00→渡渉点15:40→登山口16:25 (所要時間6時間30分)

 湯沢ICから旭原へは湯沢パークゴルフ場か大源太キャニヨンを目指すのが分かりよい。大源太川沿いの広い舗装道路を、ゴルフ場手前の池の所まで行き、案内に従って簡易舗装の林道に入る。林道終点が登山口である。

駐車場:林道終点には10台程度駐車可能な簡易舗装の駐車場がある。

登山口:新しい立派な案内板(山頂まで3.5kmの記載がある)と登山カードの提出箱がある。トイレは無い。

紅葉は部分的に始まっているがまだまだである。(10/1)
旭原手前の道路から見た大源太山


 駐車場には既に7台ほどの車が駐車していた。ここから山頂は見えない。それほど荒れていない登山道を歩き始めると、道は沢沿いでかなり激しい水音が聞こえる。いつものことなのか雨続きの後の増水のためか、かなりの水量である。水は濁っておらず森の状態はいいようである。10分ほどでヒロクボ沢と北沢の出合いを過ぎ、ずぐ北沢を渡る丸木橋に着く。濡れている上少し傾いていて怖い。周囲を見回したがここを渡るしかないようである。仕方ない、意を決して渡る。 
第一の試練、一本橋


 さらに枝沢を二ヶ所ほど渡って、30分ほどで北沢の渡渉点である、ムラキ沢と北沢との出会いに着く。沢にはロープが渡してあるが、沢の中の滑りそうな大岩を飛石に、急流を2箇所飛び越す。ここも嫌な所である。往きは二人ともロープを頼って無事に飛び越える事が出来た。山渓の「分県登山ガイド・新潟県の山」には、雨中、雨後の増水時は北沢の渡渉点が危険なので、無理をせず引き返すこと、とアドバイスがある。
しばし立ち往生の妻


 渡渉点を過ぎるといきなり急登が始まる。ジグザグもほとんど無く、30〜40°位の勾配の登りが延々と続く。緩むことのないこんな登も珍しい。二人でことさらゆっくり、ただひたすら登る。かなりの部分に古いロープが張ってあり、登りではあまり必要ないが、下りではずいぶん助かった。残念な事に最も必要そうな所のロープは切れていてなく、木の根、草の根に頼るしかない。展望は無いが原生林を思わせる大木の森が素晴らしい。道の両脇はイワウチワの葉がびっしりなので雪解け直後の花もいいと思う。
急登の森


 我々の足で1時間も登るとようやく少し勾配が落ち、大木の間から大源太山山頂が顔を出す。更に20分ほど登るとやっと尾根に出る。この尾根からは大源太山の山頂部の全貌と、北面の急峻な崖の向こうに巻機山が見えてくる。勿論谷川連峰は目の前である。しばらくは穏やかな勾配にほっとして一息つく。
 久し振りにアサギマダラが一頭大して羽ばたきもせず軽々と尾根を越えてゆく。さすがアサギマダラだと思ったら、ひらひらと頼りなげにモンキチョウも吹き上げられてきて、空にはイワツバメが勢い良く飛び回っており、”おいおい、あんまり上がると食べられちゃうよ”と心配になる。
 
やっと見えた山頂

尾根の手前から大源太山山頂 尾根から巻機山

 山頂へは後一登りと言いたい所だが、実際には三登りほどある。最初の急登を登り、次のピークが山頂だろうと頑張って登りつくと、更にもう一登り残っていると言う訳である。途中ステンレスの真新しい鎖が取り付けられた岩場があるが、それほど険しいわけではない。これから整備が進むと言うことだろう。
 山頂では、土浦から来たご夫妻、宇都宮の単独の男性、若い単独の男性の4人と一緒になった。スカッとした気分のいい山頂で10人程度が休憩するには十分な広さがある。快晴で展望は申し分なく、巻機山から平標山まで裏側から見る谷川連峰を始め、上越国境の山々を真近に一望できる。北東面の丸の沢から一気にせり上がる高度感も中々で、谷川岳のトマの耳から見下ろすマチガ沢にも劣らないと思う。

山頂へ最後の登り 山頂風景:背景は谷川連峰、谷川岳から万太郎山まで


 下りは往路をそのまま下ってきた。上りがきつければ下りもきつい。膝や腰がガタガタになった頃やっと北沢の渡渉点まで下る。したがってここの渡渉は往きより厳しい。沢登りのプロなら1〜2mの飛び石にビクついたりはしないだろうし、靴は履いたままで腰まで濡れようが首まで濡れようがお構いなしで渡るのだろうが、我々には濡れたまま歩くのが楽しいと思うような趣味は無い。山頂にいたご婦人は渡渉点は裸足になって水の中を渡ると言っていた。飛ぶと女の人は大抵落ちると言う。しかし靴を脱いだからと言って、60過ぎで沢登り未経験の我々が、ゴロゴロの川底で膝より深い急流を渡るのが、そんなに簡単になるとは思えない。
尾根から湯沢IC〜湯沢パークゴルフ場の眺め

 しかも濡れないためにはズボンをまくるだけではすまないだろう。他人の眼のある中、妙齢?のご婦人が下着一枚で渡河する図を想像して欲しい。で、飛ぶ方を選んだ。私は無事に飛べたが妻は見事に滑って山頂のご婦人が言っていた通り、水にはまってしまった。幸い既に浅い所で、ロープを離さなかったので事無きを得たが、下半身はずぶぬれで、しかもその状態でその下流の高さ2mはある丸木橋を、再び落ちる恐怖に耐えて渡らねばならず、さらに駐車場まで濡れたまま歩かなければならなかった。ご忠告申し上げる。このコースを登る場合は万全の渡渉対策、あるいは覚悟をしてお出かけ下さい。



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