03.02.13(THU)          湯の丸山          浅間:白根
  丸3ヶ月の間に我々夫婦の二人の親が他界し、私も風邪をこじらせたり腰痛が再発したり、思うように山歩きも出来ない日々が続いた。四十九日もまだだが、これからは少し落ち着いて山歩きも再開できるだろう。いつか来る自分たちの日を、私はどう迎える覚悟があると言えるのだろうか。
コース:地蔵峠駐車場 11:00→スキー場リフト上 11:40→湯の丸山山頂 13:15−14:20→リフト上 14:40→駐車場 15:10 (所要時間 4時間10分)

  駐車場までの道は完全に除雪されて乾燥していた。駐車場は凍結している。トイレは暖房されていて掃除も行き届いて快適である。
山頂から見た浅間山と噴煙
  昨年は一人で登って雪の湯の丸山の楽しさを充分確認したので今年は妻と二人である。天候を見定めて出かける。途中軽井沢付近の高速道路から見た浅間山はプリーツスカートのような残雪模様を身につけて絵のように美しい。余程車坂峠から黒斑山に切り替えて浅間を眺めに行きたかったが、妻の体調と慣れないスノーシューを考えると無理である。
  湯の丸スキー場の地蔵峠駐車場はがら空きで、スキー客ものびのびスキーを楽しんでいる。早速身支度を整えて、妻はスノーシュー、私はワカンをぶら下げてキャンプ場からの登山道へ歩き出す。昨年は無かった雪上車のキャタピラで踏み固められた広い道が何処までも続き、結局尾根の上のスキーリフトの上までそのスタイルで登らされてしまった。何だ、リフトで上がれば良かった。
 
 
湯の丸山
 暫らく降雪は無かったらしく、雪面はしっかりしていて踏み跡を外しても沈むようなことも無く、広々した雪面を自由に登る。八ヶ岳は見えるが富士山は見えない。やがて木陰で風を避けて休憩していた先行のペアに追着いた。山頂まで行くかどうか思案中と言うことなので、お天気がいいから行きましょうと声をかけて先に登る。
  向かいの西籠の登山の陰から浅間の噴煙が見えるようになりやがて真っ白な浅間の頭が顔を出す。山頂に近づくと流石に登りは急になりスノーシューの妻は苦戦の様子である。かってにスノーシューを脱いで壷足で歩き出し雪にはまり込んでもがいている。仕方なしに又スノーシューを付け直して登る。
 
  山頂付近を5、6人の山スキーのグループが慎重に下っているのが見える。その後下ってくる彼等と出会わなかったので直接鹿沢の方向へ下ったのだと思う。我々より一足先にリフトを出発したスノーシューのペアが登っているのが見える。結局この日の湯の丸山は我々以外この2組のグループだけだった様である。
  リフトの所でスノーシュー、ワカンを着ける。冬枯れた唐松の尾根を少し歩くと視界が開けて優しい山容の湯の丸山が迎えてくれる。
  冷え切って低体温症になる前に山頂を後にする。ワカンの下りは楽しい。ばっかばっかと下りたい所だが、妻は妙に身体を曲げて不安定な格好をしている。おっかなびっくりスキーをするのと同じ格好だ。要するにスノーシューは後が沈まないから急斜面に真っ直ぐ立つのが怖いのだ。スノーシューもワカンと同じようにつま先だけでなく踵も下げられる様な構造にすべきじゃないのか。いいよ、真っ直ぐ立てよ。滑ったら滑ったで面白いじゃないか、転んだってここなら怪我なんかしないよ。しかし結局妻は勾配の強い所を選んで尻セードではしゃいでいた。しかしお尻が重いから少し勾配がゆるくなるとビニールシートを敷いても滑らない。今度はそりでも担いで行こうか。
  駐車場に戻ったら凍った雪に滑って見事に転んだ。山でも転ばなかったと言うのに。幸い何処も打たずうまく転べた。やれやれ。向かいのレストランでコーヒーを飲んでしばし和む。店には他に客は居ない。大きな声の気さくそうな親父さんが入ってきたので、池の平への道の状況を聞いたら除雪はしてないという。行くならスキー場のリフトの上からスキーで行けるよという。店の主人ですかと聞いたらスキースクールの指導員の頭(まとめ役)だと言う。そう言ってる間に同じユニフォームの指導員達が続々引き上げてきた。親父さんはみんなにコーヒーを振舞っている。どうやらストーブの前の席は指導員の定席らしい。早々に退散する。
 
キャンプ場からの湯の丸山
  後で妻が何んであんな寒い所で食事にするのか分らないよと言う。同感だ。山頂で展望を楽しみながら食事にするという固定観念は恐ろしい。ボケて頭が硬くなっていたのかもしれない。それにしてもそんなら一言言ったら。二人で助け合いながら苦労して(?)山に登り、山頂の岩陰に寒風を避けて肩を寄せ合い、浅間の噴煙を眺めながらの冷たい食事も満更じゃなかったじゃん。二人の今の人生をそのまま映しているよ。
 
  南のピークに立つ。山頂は冷たい風が強くあっという間に冷えてくる。後から来たペアは山頂手前の尾根まで登って早々に引き上げて行った。北アルプスは見えているが山頂はいずれも雲の中だ。私は北側の真の山頂まで渡ろうと思ったが、冷風に挫かれて途中の大岩の陰で食事にした。テルモスに入れた紅茶はうっかり忘れてきたので、暖かいものは何も無し。冷えた硬いおむすびを凍りそうな水で流し込む。あごまで冷えて口がうまく動かない感じだ。担いで行った小さなウレタンマットのお陰でお尻が冷たくなかったのがせめてもの救いである。
 
湯の丸山山頂:南のピーク
  帰りは碓氷バイパスを下って横川の日帰り温泉にゆっくりつかり、夕食に釜飯を買って帰った。東京のデパートじゃあこの駅弁の釜飯を行列して買うんだってね。テレビでそんなこと言っているから何年ぶりかで釜飯を食ったよ。
 
お隣の烏帽子岳のピークと北アルプス穂高・槍付近
西籠の登山を見ながら広々した雪原をのんびり下る.山頂の冷たい風が嘘のように穏かだ。
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