ときタマ日記 08年08月26日



山百合


赤城山(鍋割山)のヤマユリ


 私が育った神奈川県の県花はヤマユリである。ヤマユリになった経緯は知らないが、少なくとも子供の頃、私の周囲にヤマユリは咲いてなかった。しかし神奈川県も内陸は山だから、きっとヤマユリが沢山あったのだと思う。野に咲くヤマユリを間近に見たのは群馬に来てからで、それも山歩きを始めた頃だから、ずっと後のことである。
 それでも神奈川県の県花がヤマユリであることを知っているのは、東京オリンピックの頃、神奈川県が当時の日本としては屈指の大型ヨットを建造して、県花に因んで”やまゆり”と名づけた、という記事を何処かで読んで覚えているからである。当時堀江謙一の”太平洋一人ぼっち”の影響を受けて、自由な大海原にあこがれる若者が多かった。
 ところでこれだけのことを書くためにwebで確認したら、”やまゆり”は江ノ島ヨットクラブに健在であることを知った。そこには東京オリンピックの時、ヨット競技のVIP接待観覧用に建造されたと書いてある。東京オリンピックは1964年で44年前である。一方ヤマユリが県花として制定されたのは1966年だと言う。なにか話が食い違うが、この程度の事実や記録や記憶は、44年も経てば何処かあやふやで神話のように成るということなのかも知れない。それはどうでもいいが、”やまゆり”については、ずっと心に残っていながら消息の知れなかった子供の頃の友人について、その消息を人づてに聞いたような、不思議な気分がした。さてさて木造のヨットというのは、手入れさえしていればすいぶん長持ちするもんだね。座ってばかりいたら腐ってしまうよね。わが身にも少し手入れをしなきゃあね。
 もう一つ神奈川県の県花がヤマユリである証拠が我が家にある。二十歳で戦死した叔父の遺族に、ずっと後になって神奈川県が香炉をくれた。どういうことでもらったのかも忘れたが、そのデザインもヤマユリである。親から受け継いだ位牌とともに仏壇の中にある。



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