ときタマ日記 07年04月12日


フラワーパーク


赤城フラワーパークのチューリップ


 幼い子供だった頃、まだ一度も本物に遇ったことはなかったけれど、山の絵といえば富士山、花といえばチューリップを描いた。小学校に入ったのは戦争が8月に終わった翌年の4月だから、教育は混乱していて教科書もなかった。当座の学習内容はわら半紙にガリ版で刷ったものをもらった。入学式を終わって教室に入ったら担任の先生がそのガリ版教科書と、ばらばらのクレヨンを5本配ってくれた。だがそのクレヨンをすぐ床に落としてしまい、机や椅子の間に転がったクレヨンの一本は見つけられなかった。今でも覚えているのだから、それまで生きてきた中で一番悲しい心に重い出来事だったに違いない。今、フラワーパークはチューリップにあふれている。日本が貧しかった頃、写真雑誌の口絵などで見て憧れた外国の公園の風景に似た風景が広がっている。子供達は大きな画板一杯に本物のチューリップを描いている。花を見に来た人たちにまぎれて花の間を歩くと、安らいで腰痛も背中痛も忘れてしまうが、なくしてしまった一本のクレヨンを思い出す。


 山の上ではこれからのアカヤシオも、シラネアオイも、ミツバツツジも、フラワーパークではもう咲いてるよ。
アカヤシオ


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