2019年06月13日(木) | 安達太良山(一日目) | 福島県 |
東北の山はあまり行ったことがない。鳥海山、早池峰山、月山くらいである。秋田駒と栗駒山は行きたいと思いながら行きそこなった。東北の山のイメージはベテラン向きでろくに歩けない熟年夫婦が、二人でぽっと出掛けるようなところじゃない、すぐ道迷いだよみたいな感じ。同じ出掛けるなら、よく整備されている北アルプスの方が安全だと思っていた。要は遠くて不便で不案内で最初から対象外のようなものだった(言いたい放題でごめんね)。ただ安達太良山の名前だけは人並みに知っている。高村光太郎の心の中に残っている妻智恵子が言う本当の空があるという山だ。言われてみれば誰もが語るべき空を持っている。智恵子の空を確かめてやりたい。 |
あたさんから誘われた時、もうあきらめていたその機会がふっとやって来たようで嬉しかった。どんな山かも知らなかったがロープウエイで登れる簡単な山だと言う。ロープウエイで登れる山は大好きだ。はらっぱさんは顔を曇らせて結構大変だよと言う。あたさんは日帰りの山を温泉付き山小屋泊で登るんだから全然心配ないと言う。コースと僕等のへたれ具合をよく知っているあたさんが言うんだから、心配したってしょうがない。本当は心配だけど行ちゃおう。 |
コース:あだたら高原P9:00→あだたらロープウエイ9:10⇒山頂駅920→薬師岳山頂展望台9:30-9:50→仙女平分岐10:30-10:40→安達太良山山頂12:00-12:45→牛の背分岐13:05→矢筈森13:15-13:30→牛の背分岐13:35→峰の辻14:00-14:10→くろがね小屋15:00(泊) (所要時間6時間) 標高 1700m 最大標高差 790m 累積標高差 500m(登り) 累積標高差 890m(下り) 距離 12.1km 行動時間 10時間15分 (全行程2日間で) |
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安達太良山(薬師岳展望台から) |
10時就寝、3時起床で妻はおにぎりを作っている。歳をとったとはいえ女性が出掛けるとなれば、それなりに時間がかかる。5時に家を出てあたさんちへ。予定通り6時前に高崎を出発できた。見えてきた山が磐梯山か否か、あたさんとはらっぱさんの論争を聞きながら二本松ICで高速を降り、ちょうど3時間であだたら高原駐車場に着いた。めったに使わないが北関東道が東北道につながって便利になった。 |
二本松ICは近い。 | あだたら高原駐車場 |
あだたらロープウエイ 10分ほどで一気に400m登る。 |
あだたらロープウエイに乗ればあっという間に400mも登って尾根の上に。まずはロープウエイ山頂駅から10分ほど歩いて安達太良山の展望台、薬師岳山頂展望台へ。 |
歩き始めれば、すぐ何時もの花探しが始まる。ツマトリソウ、マイズルソウ、イワカガミが圧倒的に多い。 | ||
僕のカメラは電池喰いで予備の電池1個で2日間もつかどうか心配。撮影は最小限に。 | ||
ミネカエデ | ||
マイズルソウ | ツマトリソウ |
イワカガミ |
薬師岳山頂展望台 |
今日は大当り。風もなく快晴。安達太良ののびやかな山容と智恵子の空が一望できた。高村夫妻は山登りはしなかったようだから、智恵子が生まれ育った二本松当たりから遠望した安達太良山もこんな感じだったのかもしれない。それにしても心が躍るようないい天気だね。 |
山容一望。 左が安達太良山、真ん中の岩山が矢筈森、その右が鉄山、一番右が箕輪山だそうだ。 |
安達太良山 (別名 乳首山) 乳首山と言うよりおっぱい山の乳首岩かな。 |
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一休みしてさあ安達太良山へ。最初は広い木道、流石あたさんの選んでくれた山で、老人向きで歩きやすい山なのだろうとチラッと思ったが、そんな訳ないよね。すぐどこででもお馴染みの荒れた何時もの山道になった。甘いことを期待しちゃいけないね、山は。 |
最初は広い木道 | 少し登ればお馴染みの山道 |
ベニバナイチヤクソウ | ゴゼンタチバナ |
仙女ヶ原分岐で休憩。 |
遥かな乳首の先っちょに登山者が見える。 | ||
かろうじて残っているムラサキヤシオの花が緑に映えてきれい。はらっぱさんの上着と同じ色だね。 | ||
オオカメノキ |
ムラサキヤシオ | ムラサキヤシオと |
ロープウエイ山頂駅から薬師岳山頂展望台によって安達太良山山頂までのコースタイムは1時間30分。初心者コースなんだそうだけど、ひどい道だね。 |
ひどい道 | まだ続くの? |
ミネズオウ | 余裕のあたさん |
少し展望のよいところで一息つく。 |
でもその先は・・・ | ||
今日歩く予定の牛の背から矢筈森の稜線が見えてきたが、南から大きな雲塊が迫って来て陽が陰って来た。もう1時間ほど持ってくれると良かったんだけど。まあ日傘代わりにはなってくれたと思えばいいか。 |
牛の背から矢筈森への稜線 | 最後までこの登りかい。 |
山頂 |
予定通りコースタイムの2倍、3時間掛った。あたさんの腹積もりよりは30分ほど余計だったらしい。 |
やれやれ、やって来ました乳首山。いい雰囲気だね。 | ||
安達太良山山頂”とうちゃこ” |
ランチは乳首の上で。登りははしご。 | ||
はしご |
岩頭へ | 最高点、祠と三角点がある。 |
山頂の展望は陽が陰ってしまったのと少し霞んで来て今一と言えば今一。それでも遠望も利いていい気分の山頂だった。 |
山頂の展望:障子ケ岩の尾根の向こうに磐梯山 | ||
今日歩く牛の背、矢筈森の稜線、くろがね小屋への下山路が見える。 |
狭い岩頭でランチ。ただただよく頑張って登ったね。おにぎりと一緒に満足感を噛みしめるのでありました。あたさんとはらっぱさんは20年ほど前に二人で目の前の景色の中を歩きまわった思い出話をしてくれた。若いっていいね。岩の上は狭いのと時間の超過もあって珈琲はカット。 | ||
狭い岩の上でランチ |
さあ下ろう。下りは鎖、あたさんが心配して(面白がって?)ずっと見守ってくれる。 |
下りは鎖 | 心配。お腹が挾まって抜けないんじゃないかな。 |
矢筈森へ |
牛の背の稜線を行く。右は緑、左は赤茶けた火山礫の道。緑側には結構お花も咲いている。圧倒的に色も濃く活き活きしたイワカガミが多い。こういう所が合ってるんだね。 |
赤茶けた尾根の道 |
牛の背の小さなピークを越えて断崖の上に立つと突如眼下に沼の平が広がる。凄い風景だね。南側から見ればたおやかな山容で、こんな風景の予兆は全く見せないのに(乳首の上からも見えない)、いきなりこれだからね。ホントにいきなり眼下に広がるんだ。それは智恵子の内と外。内には冷え切ることのないマグマがある。 |
ジャジャ〜ン!! 今日の絶景ポイント、沼の平 |
沼の平はいくら見まわしても飽きないが、何時までも時間をつぶすわけにはいかない。お花畑が綺麗だと言う矢筈森に登る。やばい。足がつっちゃたよ。芍薬甘草蕩に頼る。何とか問題なくきり抜けた。 |
矢筈森のお花畑、イワカガミの群落がある。 | ||
イワカガミとお疲れ爺さん | 矢筈森の上からくろがね小屋が見える。 |
矢筈森からくろがね小屋へ下る分岐付近まで戻って、だらけて一服。最後の難関くろがね小屋に向けて下る。 |
一仕事終えてほっと一服のあたさん 後ろの湖は秋元湖らしい。 |
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早く下りたいはらっぱさん |
へろへろのじいさんばあさん |
いわごろの歩きにくい道を下る。色々お花が咲いているのがせめてもの救い。何のかんのとお花を撮っては休んでいる。 |
さあ下ろう | ミネズオウ |
ウラジロヨウラク |
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イワカガミ | ベニバナツクバネウツギ |
峰の辻で休憩。 峰の辻を過ぎると乳首山ともお別れ。 |
峰の辻 |
峰の辻から福島市の市街が見える。こんなに近いんだね。安達太良山はきっと前橋市の赤城山のように福島市民に身近な山なんだね。 | ||
福島市の市街が見える。 |
更に勾配を増した嫌らしいざれた道をこわごわ下る。一度こけた。 |
向かいの崩落地を見ながら | ひどい下り、急下りの終点が見えてきた。 |
真下にくろがね小屋 | 開き始めたナナカマド |
イソツツジは初めて見たような気がする。磯じゃなくて山ん中なんだけどね。 |
イソツツジ | アカモノ |
午後3時、くろがね小屋無事到着。部屋は二階の角部屋(部屋と言っても壁とカーテンの仕切りだけどね)。蒲団が4枚敷ける寸法で両側に板の部分が有ってザックと靴はそこに持ち込む。 小さな個室という感じで他の人に気を使うこともなく4人でゆっくりくつろげた。宿泊者は15人ほど、言ってみれば山小屋としてはがらがら。他に夫婦が一組いて、女性は3人だけだった。早速あたさんと白濁した硫黄のにおいの強い温泉に入湯。天国だね。僕は一度しか入らなかったが、あたさんは寝るまでに3度も入っていた。よっぽど好きなんだね。午後は8時まで、朝湯もなしと言うことで残念がっていた。 |
くろがね小屋到着 |
夕食はカレーと昔から決まっているらしい。お代わり自由。確か南アルプスの仙丈ヶ岳の馬の背ヒュッテも同じだったね。昔の記録を見たらカツカレーと書いてある。ちょっと豪華だね。まあ小屋代が安いから文句はない。仙丈ヶ岳の小屋の若い人が昔はまずくて有名だったと自虐ネタを披露して笑わせていたが、こちらはうまくて有名らしい。元気にお代わりする人も居たがとても付き合えない。8時過ぎに就寝で夜中の3時前には目が覚めた。はらっぱさんが月が沈んで星空が綺麗だと教えてくれたが、まだ半眠りで外へ出て行く元気はなかった。 |