2013.03.07(木) 長七郎山 赤城山


 天気予報は水曜日と木曜日が暖かで天気がいいという。水曜日は前橋からも山がよく見えたが残念ながら妻の予定があり、7日木曜日に赤城山に出かけた。黒檜山は最早ちょっと自信がなく、かねての予定通り長七郎山を時計回りに歩いて、小沼を渡って戻る山登りというよりスノーハイクである。


 コース:小沼駐車場10:30→長七郎山頂11:20-12:20→湖尻13:00→小沼駐車場13:25 (所要時間2時間55分)


 路面にはほとんど雪や氷は無いが、日影は部分的に凍りついているので、スタッドレスはまだ必要。
長七郎山


 3月の声を聞くと流石の赤城山の上も雪というより残雪の感じ。気温は3℃、戻って来た時9℃だった。 駐車中の車は我々のを入れてたった3台。真冬の厳しさは無く春には早く中途半端ということだろうか。
小沼駐車場


 歩き始めて振り返ると地蔵岳が青空の中に浮かんでいる。いい感じである。道は繰り返し良く踏まれているようで、足がもぐることも無い。
地蔵岳


 鳥居峠に下る分岐の手前で何時もの通り黒檜山と駒ケ岳を眺める。暖かいだけに春霞で黒檜山さえ霞んで見える。既に上着は脱いでザックに挟む。手袋も滑り止めの付いた綿の薄い作業手袋で十分だ。
黒檜山・駒ケ岳


しばらくは雪の吹き溜まった林道歩き 林道終点から:春霞で遠望はなし


 冬は黒檜山と地蔵岳の間を吹き抜けてくる厳しい北西の風が斜面を吹きあがって林道に雪庇を作り、春先は森の雪が先に解けて林道にだけ雪が残る。できたての雪庇は歩きにくいが、今は踏み固められ踏み跡を歩く限りは踏み抜くことも無く、急登ではないのでアイゼン無しでも問題ない。スパイク付き長靴向きの道である。


山頂までは雪庇の上を行く 春らしい雪庇だね。



 林道終点からは勾配が少し増し、左手の崖に発達した雪庇の上を歩く。この雪庇は山頂まで続く。長七郎山は地蔵岳から見下ろすと火口湖の小沼の縁にしか見えないが、この雪庇の風景のお陰で山歩きらしい楽しさを味わうことが出来る。怖いよ、あまり先に行っちゃだめだよ、なんて言いながらね。 
山頂が見えて来た。


山頂 : 歩いて来た雪庇の道を見下ろす。 地蔵岳もかすんでいる。


 山頂は誰も居ない。誰か登って来る気配も無いので広い山頂の一番いい場所を独占して店を広げる。珍しく12時前だがお昼にする。最近山には持って行かなくなったストーブも担いで来た。妻の手作りのおにぎりにオレンジにトマト、インスタントラーメンとコーヒーだからうちとしては豪華版だね。50年前のヤカンも新しくした。前のヤカンよりも一工夫あって取っ手が使いやすくなっていた(立てた位置でロックできた。すごい。わずかだが偉大な進歩だね)。


ささやかな贅沢 他に誰も居ない山頂


 ゆっくりなごんでから、湖尻側への下り道を覗くと地肌が出てしまっている所もあるが、まだ広々した雪田が広がっている。折角担いできたのだから下りではワカンを使うことにする。支度を終わる頃犬を連れた同年代の男性が登って来た。妻はかわいいワンコに大喜び。犬も興味津々でよって来たがすぐ男性のもとへ。ご主人の前でしっぽを振りながらしきりに吠える。何が言いたいんだろうね。今日は暖かいですねとご挨拶してワンコの写真を一枚撮らせてもらってお先に失礼する。


妻の新しいワカン 危なっかしいけど楽しんでます。


 妻にとっては重くて役立たずのスノーシューに替えて手に入れたアルミ製の小さなワカンは大変気に入った様子。危なっかしい格好でこけたりしてたが大いにはしゃぐ。登山道とは無関係に広い雪面を自由にバサバサ下ったり、登山道を避けて鹿の足跡の残るけもの道を抜けたり、あっという間に林道まで下ってしまった。
 鹿と言えば下っている途中、3度程それ程遠くないところで鋭いなき声を聞いた。また林道の手前でそれまで下ってきた明瞭な鹿の足跡が突然消え、その前に大きな犬の足跡があった。鹿は犬が来る前に気配で察知して来た道を戻り、犬はそこで鹿の匂いを知ったに違いない。山頂でご主人に吠えていた犬は、近くに鹿がいるよ、とご主人を誘っていたのかもしれない。


爽快だね。 あっという間に下っちゃう。


 林道の雪の多そうなところをワカンを付けたまま歩いて湖尻に出る。乾いたベンチで小沼の景色を見ながら一休み。白樺の白い幹が青空に映えてきれいだ。


湖尻 小沼の中央から地蔵岳


 小沼を渡る。途中の足元で何とも言えない凄味のある氷の割れる音がした。怖いね。しかしこの割れる音が出る位氷が厚ければ我々が水没するような割れ方はしないだろう。駐車場側の岸が近づくにつれ、氷の表面が溶けていて、その表面が凍ってその薄い氷が足元でチャラチャラ割れ、びしゃびしゃしている。気持ちのいいものではない。つい足が速くなる。妻は遅い。待ってやらないこの薄情さよ。


融けていて怖い。 小沼を渡りきる。やれやれ。



   駐車場は空っぽで我々の車しかなかった。歩いている間に会ったのは山頂の男性とワンコだけ、静かで楽しい山だった。
 時間が早いので覚満渕の様子を見て行こうと鳥居峠の駐車場に車を入れて、覚満渕をのぞいたら、覚満ぶちのど真ん中を歩いている人と犬がいた。山頂で会ったワンコとご主人に違いなく小沼より氷は薄そうに思うが、一人と一匹はついたり離れたりしながら覚満渕を渡りきっていた。
覚満ぶちのど真ん中を行く一人と一匹    



 追記:この男性とワンコはかの「気ままな男の山歩き」の、知る人ぞ知る赤城良常さんと忠治君でした。流石に誰も居ない覚満渕のど真ん中を行く後ろ姿は、芯が通ったただものじゃない強さと美しさを感じますね。同じ歳でもフェードアウト中の我々とは活動する領域も時間(何時も暗いうちからですからね。)も違いすぎるので、またどこかでばったりは神の御心なくしてはありえないでしょうが、忠治君とお散歩のときにでも再会できることを楽しみにしています。





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