2012.07.27(金) |
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北アルプス |
3日目朝、五竜山荘の外は真っ白。何も見えない。悪天候ではないがすっぽり霧につつまれている。今日はもう遠見尾根を下るだけ。まえ二日間の晴れに感謝である。霧につつまれて下る方が陽に焼かれるより楽でいいかもしれない。 |
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遠見尾根 |
ゆっくり食堂に出向いて朝食を取り支度して外に出る。山荘のベンチの前から雪渓とこれから下る遠見尾根が霞んで見えた。登るのも下るのも大変そうな尾根である。妻も私も劣悪な環境?の中でもよく眠れたせいか体調は悪くないようだ。さて注意して下ろう。 |
ところで山荘前のこの雪渓からもし転がり落ちたら、何処まで落ちるのだろう。昨日も五竜岳に登りながら何度も考えた。下りで蹴躓づいて五竜岳の斜面に転がったら何処まで落ちるのか。私は落ちたことがないし、人が落ちるのを見たこともないので、どんな状況でどの程度の傾斜なら止まるのか、落ちるのか見当が付かない。 | ||
山荘前の雪渓と遠見尾根 |
この雪渓なら間違いなく谷の底の底まで落ちてゆくだろうと思った。しかし、なんと私達が外へ出る直前にそれを試してしまった人がいる。どうしてそういうことになるのかまったく理解できないが、山荘前のベンチからここへザックを落としてしまったのだ。人でなくて良かった。どうしてそういうことになるのか全く理解できないような状況で、落ちるんだね。 でもザックは雪渓の上で止まっていた。上の写真にも判別は付かないが点のように写っている。 |
山荘が頼まれて誰かがザックを拾いに行くことになったらしい。その人はザックを拾いに行ってもらうのではもったいないような、本当の救助隊員のような、しっかりした体格の頼もしい青年だったよ。私達が白岳を登り返している時、ヘルメットを付けピッケルをもった彼が、山荘の下の崖から雪渓の上に出て行くのが見えた。アイゼンは付けているのかいないのか確認はできないが、小走り位の感じで雪渓を下りザックに近づき確保するのが見えた。 | ||
救助隊員 |
昨日歩いた白岳の巻き道の分岐から山頂へ向かう。さらに分岐があり先に山頂が見える。山頂は快晴なら絶好の展望台らしいが、今日は残念ながら展望はないのでパスする。 |
ミヤマアズマギク | お花畑 |
白岳の先は雪渓に沿った尾根の一気下り。また登ったり下ったり巻いたり、風化して砂のようにぼろぼろになって崩れた花崗岩の狭い尾根道(歩くと足下の草がぶかぶか浮いているのが分る)なんかもある。道に沿ってお花が沢山咲いている。 |
後から下って来る人達が見える。 | シモツケソウ、ウツボグサ |
似た様な崖を2,3度登り返す。 | 恐怖の登り返し |
上の写真のように結構怖い崖の登り返しが2,3度繰り返される。右の写真の登り返しの崖の上から見下ろすと、このページのトップの写真になる。怖いところだと思うが夏には毎日何十人、多い日は百人を越える人がこの道を行き来するが、あまり落ちたという話や、危険な道だと言う話を聞いたことがない。結局人間はこういう所を通る能力を持っていて、こういう所が好きなんだね(昔人間はマントヒヒだったからね)。 |
西遠見は雪溜まりだった。 | まだショウジョウバカマがある。 |
西遠見は雪溜まり。ここまで下るともうあまりスリルのある下りはない。 坦々と下るのみ。結構雪が残っている。 |
五竜岳が幻のように最後に顔を見せてくれた。 | ムラサキヤシオ |
大遠見への下り道にムラサキヤシオが残っていて、その花を振り返って撮ろうとしたら、霧の中から幻のように五竜岳が現れた。ほんの一瞬だけどね。大遠見で休んでいたら前後して下ってきた同室だった山梨のご夫婦が、さっきちょっとだけ五竜岳が見えたよと教えてくれた。前を見て下っている二組の夫婦が一瞬後ろに現れた五竜岳をちゃんと見ているって不思議だと思わない? |
ナナカマドの花へ来たアサギマダラ | 大遠見 |
大遠見山も言われなければ山とは気付かないような平らなところで、前に池がある。 |
大遠見の白いコイワカガミ | ヤマブキショウマ |
小遠見山? | ミヤマママコナ |
その後もなだらかなアップダウンが二三度あって、登り着いたのが小遠見山。テレキャビンの山頂駅からここまでがハイキングコースになっていて、ここまで登って来る人がいるんだね。突然あふれる位人がいる場所に出て吃驚。 |
小さな子供達もいて雰囲気ががらっと変わる。 | ||
小遠見山山頂 |
見返り坂から地蔵の頭を見る。 | カラマツソウ |
見返り坂と案内のある峠から地蔵の頭とその下に広がるスキー場、リフトなどが見える。やれやれ、だがまだだいぶありそうだね。ずっと木の階段を下る。 |
地蔵の頭のクルマユリ | 地蔵の頭 |
地蔵の頭に着く。お花畑の散歩を楽しんでいるハイカーがたくさんいる。我々はもうくたくたで余裕なし。一刻も早くテレキャビンに逃げ込みたい一心あるのみ。地蔵の頭から下は、夏は舗装された歩道が張り巡らされた自然園のようになっている。山歩きとは無関係なバチバチメークの若い女の子達も散歩しているようなところだから、又ガラリと雰囲気が変わる。 |
10分ほどコンクリート板の舗装路を下ってテレキャビンの駅にたどり着く。その僅かな下りの長かったこと、一歩ごとに足先が痛み、太腿が痛み、普段の不真面目な山歩きの報いを思い知らされる。 こういう所をカッコ良くフィニッシュしたいものだと何時も思う。 | ||
地蔵の頭のシモツケソウ |
心配した足の痙攣も起こらず、ゆっくりだが二人揃って唐松岳-五竜岳を歩き通せたのは本当に幸せだった。今回初めてサポートタイツ(グンゼCW-X)をはいたが、これが良かったのかもしれない。はくのは大変だがはいてしまえば正座も普通にできるほどで、ことさら使用している感じはしない。今後は愛用することになりそうだ。 |