2012.07.26(木)
唐松岳-五竜岳
(1)唐松岳
北アルプス



 唐松岳から見る五竜岳は実に堂々としていて深田久弥でなくても惚れぼれ眺めてしまう。白馬三山は昔歩いた。唐松岳にも登った。爺ヶ岳から鹿島槍ヶ岳の稜線も歩いた。となると間の五竜岳が抜けているのが何とも心残りだ。だが五竜岳は不真面目な我が隊にとっては、遠見尾根から登るにしても唐松岳から渡るにしても、かなりきつそうだ。しかも岩峰だという。ちょっと弱気にもなったが、我が隊の全所要時間をコースタイムの2倍とみて、二泊三日の計画なら何とかつじつまが合いそうだ。後は岩峰の難易度だが注意して歩けとは書いてあるが、素人には無理とも書いてない。それではともかくガイドに書かれた”らくらくアプローチでゆったり楽しめる稜線散歩”?に出かけてみよう。



一日目
 コース:八方池山荘前8:45→八方池10:05-10:30→扇雪渓11:30-12:00→唐松岳頂上山荘13:55-15:00→唐松岳15:30-15:45→唐松岳頂上山荘16:10 (所要時間7時間25分)



 自宅(前橋)4:45→八方ゴンドラリフト駐車場7:45、上信越道、長野、オリンピック道路経由でちょうど3時間。途中東部:湯の丸Pで休憩、朝食と昼食(おにぎりパック)を調達。 
唐松岳



 リフト駅横の有料駐車場は満車に近かったが2、3台分空いていて、駐車できた。駐車料金は3日分前払い。登山の準備をしてロープウエイとリフト二基を乗り継いで八方池山荘前まで、一気に約1050m上がる。約一時間かかった。
 前回もそうだったが足の先が届きそうなリフトの下はシモツケソウやクガイソウなどの大変なお花畑になっている。
リフトの下はお花畑


 八方池山荘に着くと4人乗りリフトで次々運ばれて来てたまって行く人の多さに吃驚する。中学生の学校登山、リタイア組の団体さん。若くてかっこよく決めた山ガール、山ボーイ達。   


   八方池山荘の裏手が第一ケルンで白馬三山の展望台になっている。間の谷から白雲が吹き上げて来ていて、鑓ヶ岳はほぼ常に見えていたが、三山が全部そろって見えることは程んどなかった。
当日の白馬三山    


 そのまま展望のいい尾根道を進む。ただし道は蛇紋岩のいわいわで歩きにくい。尾根のすぐ下を整備された歩きやすい巻き道もあり、登山者が長い行列を作っている。


 尾根道と巻き道の合流点。唐松岳頂上山荘って何人くらい泊まれるんだっけ。予約もしてないんだけど、ちょっと心配になるよね。  
    老いも若きも歩いています。蟻のように。


 行列の間に入って八方池へ。ただし全員が八方池によって行く訳ではないので、八方池は少しは空いていた。


   八方池は風波が立っていて、クリアな写り込みはなかったが、雰囲気は充分。天狗ノ頭は見えるが白馬三山の方はガスの中からなかなか顔を出してくれなかった。
八方池    


 八方尾根は今花盛りで上げればきりがないが、八方池周辺にはユキワリソウが咲いている。ハクサンタイゲキやウツボグサ、イブキジャコウソウなどが群落を作っている。


 
ユキワリソウ    ハクサンタイゲキ



   
ウツボグサ   ユキワリソウ


 扇雪田が近ずくとシラネアオイが残っていて、マツムシソウが咲きだしたりしている。得した気分。


   
シラネアオイ   マツムシソウ


 そして妻が再会を楽しみにしていたキヌガサソウも群落を作って咲いていた。


 
キヌガサソウ   扇雪田


 扇雪田で学校登山のたくさんの子供たちの隣でゆっくり休憩、昼食。雪渓から吹き下ろす風が少しは涼しいからね。丸山の第3ケルンへの登りに備える。


 
丸山への登り   第三ケルンからの展望


 扇雪田の縁をえっちらおっちら登り続けるとやがて展望のいい台地、丸山の第三ケルンに着く。


 
姿を見せた五竜岳、後ろに双耳峰の鹿島槍ヶ岳    


 第三ケルンからの展望は素晴らしい。山の大きさ、谷の深さ、北アルプスに来た喜びを味わえる場所である。


   
    不帰キレットの峰と雪渓


 さらに”えっ、こんな険しいところあった?”とか言いながら辛い登りに堪え、岩壁にかけられた木の橋が見えたら頂上山荘は間近。道の勾配も緩んで前を行く団体さんの後ろ姿にも安どと疲れが見える。


 
木の橋    団体さんの後ろに付いて


 黒ユリの咲く崖を巻きちょっと危険な尾根の先を越えると頂上山荘到着。


 
黒ユリが咲いていた。   唐松岳頂上山荘が見えた。


 さっそく宿泊手続き。まだ山頂まで歩くから生ビールお預けだよ。寝場所を確保して一息つく。部屋は山側で展望はないからいい部屋とは言えないね。この混雑期に予約もなしに泊めてもらえるのだから文句は言えない。蚕棚の下で、広めの布団一枚に二人、前と変わらない。変わったのは建物自体で、無垢の木製の木の香も新しい新築になっていた。きれいで気持ちいいね。後で分ったが少し下に別棟があって、あの学校登山の子供たちは全員そちらに入ったらしい。


   剣岳と再会。雲の付き方まで前回と同じだね。
頂上山荘前から剣岳    


 山荘までの全所要時間はコースタイムの1.7倍で充分想定内。今の時間は2時だから夕食の5時まで3時間ある。山頂までのコースタイムは往復僅か35分、しかもこの天気、ネズミを追いつめた猫みたいにいい気分だよ。 


 まずは一時間、山荘内でゆっくり休養。水と防寒着だけ持って山頂に向かう。  
    唐松岳頂上山荘


   砂礫地にはコマクサが沢山咲いている。予想外で嬉しいね。(前の記事を読むと前もあったと書いてあった)。
     


 山頂まで厳しいところはないから、だらだら登っているうちに着いてしまう。


   
五竜岳    


 山頂が近ずくと五竜岳も堂々と迫力を増す。明日あの頂きに立つ。とは言うけど、あの山頂手前の左の尾根の下に見える道は絶壁をトラバースしているみたいに険しい所に見える。大丈夫かね。ちょっとビビる。しかしその手前が五竜山荘だからね。歯が立たないと分ったら一泊して遠見尾根を下ればいい。


   
山頂でポーズ   不帰ノ嶮、天狗の頭、奥は白馬鑓 


 夕食後のんびりしていたら、大気が静まり立山から剣岳の稜線がすっきり見えた。あの稜線も半分しか歩いていない。心残りなことだ。


   
立山から剣岳の稜線    


 第一日目唐松岳は想定内で登れた。ただ想定外だったこともある。記憶では唐松岳はもっとなだらかな山のはずだった。ところが今回登ってみるとかなり険しい山になっていた。山が変わる訳はないから変わったのはこちらである。前の記録を見ると八方池山荘から唐松岳頂上山荘まで所要時間4時間20分で登っている。今回は5時間10分掛った。10年で山は我が隊にとってこれだけ険しくなったのである。


 夕食は手作り感のある品数の多いもの。美味しかった。食器はすべて使い捨て。生ビールも残念なことに冷えたガラスのコップではなく、紙コップだったよ。
 明日に備えて早く寝よう。湿らせたタオルでふけるところはふき、ジャージとTシャツに着替えて寝る。
 
    唐松岳の夕暮れ 




 (2)五竜岳へ





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