2012.07.09(月) 至仏山 尾瀬


 至仏山には少なくともここ10年は行ってないと妻が言う。確かに10年前に始めたホーム―ページのリストに載っていない。一度しか行っていなくてもいい山はたくさんあるが、至仏山は昔は何度か行った山である。鳩待峠まで車で行けた時代だったからね。二人で行くと駐車料と鳩待峠までのバス代だけで4600円取られるようになると、やはりその分近くていい山から、よくても遠い山になってしまうんだろうね。


 コース:鳩待峠9:00→笠ケ岳分岐11:10→小至仏山12:00→至仏山13:00-13:35→小至仏山14:40→鳩待峠16:30 (所要時間 7時間30分)


 駐車場から鳩待峠まで定刻のバス以外、尾瀬戸倉第一、第二駐車場こみで定員が集まれば乗合いタクシーが出ている(料金はバスもタクシーも同額、同じ切符)。ほとんど待つことはなかった。鳩待峠からの帰りも同じ。



 至仏山標高2228m
 標高差626m、距離9km、
 標準コースタイム4:40
至仏山


 さらに至仏山は尾瀬ヶ原から見ると穏やかな優しい雰囲気で、特に鳩待峠からなら簡単に行けそうに見えるが、行ってみると結構遠くて、稜線に出るとよく滑る蛇紋岩のイワイワで見た目より大変な山だったせいもある。
尾瀬戸倉第二駐車場
ゲート側に5〜6台は駐車していたかな。


 尾瀬戸倉第二駐車場はガラガラ。切符を売ったり乗り合いタクシー(8〜9人乗りのワンボックス)を手配するおばさんもちょっと手持無沙汰。尾瀬ヶ原の水芭蕉には遅いしニッコウキスゲには早い端境期でもあるし、放射能を心配する人もいるのかもしれない。  


しばらくは森の中を登る。 


 最終のバスは5時10分ですよ、との声を後ろに聞きながら登山口に入ろうとしたら、ボランテアのおじさんから、登るんですかと声をかけられた。(決まってるじゃん)。登るなら必ず登山届を書いていってください。(べつに出さずにその前を素通りした訳じゃないよ)。おとといと昨日、雨が大量に降った後なので注意してください。今日も遅くなると降るかもしれません。(ごもっとも)。蛇紋岩は滑るので注意してください。と丁寧なご注意を受けた。よぽどヨボヨボの爺さん婆さんに見えるんだろうな。心配して親切に言ってくれてるんだろうけど、年寄りはひがみっぽいんだ。頭の中のニコニコマークのユキワリソウも、ウスユキソウもいっぺんに吹っ飛んで、重い曇り空の現実に引き戻された。


 しかしまあ大それたことをしようという訳ではない。普段通りの山を歩こうと言うだけのこと。もともとこだわりなんて全然ないし、花の至仏山、マイペースで行ってみよう。
    いい雰囲気だね。 


 道はよく整備されていて歩きやすい。最近の大雨で道の底の赤土が人巾で背丈ほども深く狭くえぐられた場所も二か所もあるが、真新しい丸太で土留めして、棕櫚のマットのようなものを引き砕石を入れて補修してある。大雨が一気に降りだしたらどんな状態になるのかね。ボランテアのおじさんが心配する意味が良く分かる。他はほとんどは木道か木の広い階段の上を歩けるようになっている。昔まとわりつかれて不快だった虫も今日は居ない。気にして防虫スプレーをたっぷり吹いて、電動のベープ蚊取マット?をぶら下げた効果があったのかもしれない。道も付け替えられたのか視界が広くなっていて、霧にかすむ清々しい森の中を気持ちよく歩けた。


イワナシ    クモイイカリソウ 


 天気予報では9時から晴れてまた午後には曇ると言っている。10時15分に見晴らし岩に着いたがまだ霧の中。10分ほどのんびりしていたら鳩待峠や尾瀬ヶ原がぼんやり見えて来た。遅れているが予報通り晴れ間が期待できるかもしれない。   


見晴らし岩   シナノキンバイ 


 登り始めてすぐ間をおいて下って来る人達に会うようになった。山ノ鼻から至仏山を越えて来た人達の先頭グループらしい。見晴らし岩でも我々より若く見える格好いい女性と妻がちょっとお話ししたが、やはり前日に尾瀬ヶ原に入って、山ノ鼻泊りで至仏山を越えて来たという。かなり健脚だなあと感心する。山ノ鼻からのコースを歩く人達は我々が小至仏山を越えたあたりから急激に増え、20〜30人位の団体さんとも何組かすれ違ったから軽く100人を越す人が歩いていた。人気コースのようだ。我々のように鳩待峠から往復する人はほとんど居なかったようである。  


 ムラサキヤシオ   シラネアオイ 


 ムラサキヤシオやシラネアオイはぎりぎり残っていてくれた花。サンカヨウやシャクナゲ、タカネバラも僅かに残っていた。  


   
 ミツバオウレン   青空も見えて来た。


 登り始めから花の山で、森の中はお馴染みの小さな白い花が多く、ギンリョウソウやミツバオウレン、ツマトリソウ、ミヤマカタバミ、ゴゼンタチバナ、マイズルソウなどは、露がのっていたり、開いていなかったり、暗すぎたりでうまく撮れなかった。 


 
オヤマ沢田代付近   ミツガシワ


 見晴らし岩やオヤマ沢田代のミツガシワは尾瀬ヶ原のものに比べるとすいぶん貧弱に感じたが、これも少し遅かったのかもしれない。


ハクサンコザクラ 


 ハクサンコザクラとユキワリソウは区別が難しいが、至仏山の登りにあるこの花はハクサンコザクラだろうね。ピンクのかわいい花はよく目立つ。


登山道を振り返る    オゼソウ 


 オヤマ沢田代からの登山道を振り返ると結構厳しい登りに見える。ずっとお花畑で種類を上げたらきりがないほどの場所だけど道の崩壊も進んでいる。険しいだけに木道や階段の設置や維持が難しいんだろうね。何気なく咲いているオゼソウは至仏山、谷川岳、北海道天塩山地だけにある貴重な日本固有種だそうだ。


 
ハクサンイチゲ   ミネザクラ


 ハクサンイチゲのほかにチングルマもあるがもう髭になっているのもあったよ。


ハクサンチドリ     雪渓と燧岳
雪渓渡りも2か所ほど残っている。 


 雪渓?を歩かなければならないところが二か所残っていて、滑ったからと言って命にかかわるような所ではないが、一か所はかなり勾配があって団体さんがかなり苦労して下って来る。下で待っていたら下り終えてほっとしたのか先頭の小母さんが目の前で滑って尻もち、絶対笑っちゃいけないよ。気を付けようね。


ヨツバシオガマ    キバナノコマノツメ


 なんでシオガマなのか名前が面白いね。ヨツバシオガマにタカネシオガマ両方咲いている。タカネシオガマは小至仏と至仏山の間の尾根に群生している。名前と言えばこの黄色いスミレ、なんでコマノツメでスミレという名前がつかないんだろう。 


ホソバヒナウスユキソウ   ユキワリソウ 


 至仏山と言えばホソバヒナウスユキソウと言われるだけに、たくさん咲いている。ふんわりした綿毛につつまれた小型のエーデルワイス。でも白い花はついうっかり露出オーバーで白く飛ばしてしまって悔しい思いをする。小至仏を越えるとユキワリソウも多い。ハクサンコザクラと比べると少し小型で繊細な感じかな。花弁の切れ込みが浅くてハート型に見えるから、これはユキワリソウだよね。


小至仏山頂    小至仏山頂の展望
尾瀬ヶ原と燧岳 


 お花と展望を楽しんで小至仏山頂まで3時間かかった。遅過ぎて午後の雷に捕まるのは怖いけど(小至仏までも達せず追い返されたこともある。)今日のお天気は安定側に変化しているはず。もし捕まったとしても申し訳ないけどジジババとしてはそれは天命、それなりに対処するしかないね。


 至仏山(2)へ続く




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