09.09.17(THU) 赤城大沼周遊歩道 赤城山


 久し振りに赤城山に行った。しばらく山歩きをしていないし、妻は膝の調子が悪いと言うので、山には登らず大沼を一周する。大沼は車道が一周しているのでわざわざ歩いて一周する人は少ないが、車道で分断されている二箇所を含めても、l文字通り湖岸を楽しく歩ける周遊歩道がある。最近手を入れて整備されたらしく新しい道案内が何箇所か設置されている。前に歩いた時と較べると、荒れていたキャンプ場から小鳥ヶ島の間に、歩き易い歩道と木製の橋などが整備されて、周遊歩道らしくなっていた。新しい道案内には一周4kmとある。


 コース:旧赤城神社(元宮)跡12:00→赤城少年自然の家の桟橋12:30-12:50→湖尻13:15→小鳥が島(赤城神社)14:10-14:20→旧赤城神社跡14:40 (所要時間2時間40分)

 駐車場:大同の一番手前の大駐車場が便利(トイレあり)。その手前を湖側に下ると旧赤城神社跡横に非舗装の駐車場もある。
当日の黒檜山と大沼


 駐車に便利な大洞の赤城神社元宮跡から歩き始める。(昭和45年、今の小鳥が島に遷座)。元宮はモミの大木に囲まれ、堀と二段の石垣と、石の玉垣に囲まれた立派なものだったことが分る。鳥居の先の埋まった堀を渡る石橋が残っていて、その入り口と内側に寄進者を示すと思われる石柱が立っている。入口側には”伯爵 酒井忠正”と”大日本帝国 軍艦赤城”とあり、一気に戦前の神社の雰囲気が伝わってくる。内側には青木旅館と、猪谷旅館の石柱がある。面白いのは猪谷旅館の石柱には大熊千代子と彫られた石板が添えてある。明治、大正期の文化人達に愛された猪谷旅館は、昭和4年に大熊家に引き継がれているので、これはそれ以降のものらしい。


大洞の旧赤城神社(元宮)跡 軍艦赤城の石柱


 余計なことだが千代という名前には覚えがあって、帰って赤城山文学紀行、”ああこれ山”を引っ張り出してみたら、明治39年に吉江孤雁と言う人の書いた”赤城山”(抄)のなかに、何処かミステリアスな猪谷旅館の女主人、八千代さんのことが書いてある。同年に水野葉舟と言う人の書いた”夏籠(赤城日記)”(抄)には同じ人物が、この家の娘、千代さんと言う名前で出てくる。いずれにしろこちらの千代さんは明治の猪谷家の人で、昭和の大熊千代子さんとは別人に違いない。たまたま猪谷旅館は千代さんに縁があったのだろう。


 この道は湖岸を一周する道だから、案内はいらない。ただ快適に歩ける道があると知っているだけで充分だが、大雑把に説明しておくと、にぎやかな大洞から湖岸の道を約四分の一周すると、赤城少年自然の家のボートヤードに出る。ボートヤードから大木の森を抜けると、青木旅館前の車道に出て、沼尻までは車道歩き。沼尻からキャンプ場までは湖岸を歩く。この辺りでちょうど半周したことになる。さらに最近整備された遊歩道で四分の一周すると小鳥ヶ島の赤城神社に着く。赤城神社から大洞まではまた車道を歩く。
湖岸の道


 元宮の隣の御神水と呼ばれる涸れた泉で、我々と逆周りでこの道を歩いてきた女性の二人連れに会う。キャンプ場ではバーベキューをしている人たちもいたが、それ以外にこの道を歩く人には誰も会わなかった。


水はきれい 魚もたくさん


 大沼の水はきれいで小さな魚がたくさんいる。前来たときはたまたま産卵の時期だったらしく赤い腹をした15〜20cm位の魚が覚満淵から流れる小さな流れに大挙して遡上してきていたり、浅瀬で大きなコイが絡み合って波立っていたりしたが今回は静かなもの。ボートで釣りをしている人が、別のボートに「おおい!ここ、入れ食い」などと呼んでいるのが聞こえる。


赤城少年自然の家の艇庫 桟橋と黒檜山


 赤城少年自然の家の艇庫は冬の積雪からボートを守るためか、いかにも頑丈そうな超豪華な艇庫になっている。前にスロープと桟橋、ポンツーンが三つあり6隻のボート(カッター=漕短艇)が係留されている。前橋、高崎辺りの子供達は大沼か榛名湖で一度はボートを漕がされる。小さく見えるが定員42人と書かれている。クリンカービルドの木造艇に見えるがFRPのようである。人は誰もいない。桟橋に座ってのんびり昼食にする。例によってコンビニおむすびだが、こんないいところで誰にも気兼ねせず二人きりの食事が出来るなら、コーヒーセットくらい持って来ればよかった。だがいつもこうとは限らない。


秋の色・紅葉


紅葉 紅葉


ヤマブドウの紅葉


 紅葉にはまだ早いが、探せばあちこちで紅葉は始まっている。特に逆光に輝くヤマブドウの紅葉はやさしくきれいだ。



アキノキリンソウ ノコンギク


トリカブト アザミとアカタテハ


 花も高山のお花畑の華やかさはないが、いろいろ咲いていて楽しめる。湖岸のトリカブトは小ぶりで色も薄く儚げなのが多い。



ナナカマド ナナカマド


ガマズミ ズミ


 秋の実はオオカメノキやガマズミが多い。ナナカマドは小鳥ヶ島に有ったもの。ツリバナの実も何箇所か有ったのだが、風に揺れて中々うまく撮れない。



大木の森 大木の森


大木の森 大木の森


 森の紅葉はまだまだで色付いてもいない。この森は赤城少年自然の家と青木旅館の間で、既にいろいろな施設が進出していて危うい所である。しかも湖岸と赤城道路に挟まれた狭い場所だが、赤城でも珍しくなった巨木が立ち並び、まだまだかっての赤城の森を感じさせる貴重な所で、何とか守ってほしいものだと思う。


帰り道


沼尻側から大沼
(右の丸い山は小地蔵岳)
ボートと地蔵岳
風下側は波が立っている。


 沼尻を過ぎるとこちら側にもポンツーンがあって、4隻のボートが係留されていた。めったに来ないが来る時も車で通り過ぎてしまい、湖面に下りることは少ないのでいつもと違った角度から赤城山を見ることが出来て新鮮な思いがする。沼尻からキャンプ場は車道の脇が広いのでそちらを歩いてもいいが、湖岸を歩いた方が気分がいい。しかし水の跡を見ると何時も通れるとは限らないようだ。今年は沼尻の流出口の突堤の高さまで水がなく、水位が低いようだ。


新しい道 小鳥ヶ島と小地蔵岳


 キャンプ場から小鳥ヶ島は新しく整備された(いつ整備されたのかは知らない)道を歩く。何の心配もなく、よそ見していても安全に歩ける道になっている。車道がすぐ近くにあるはずだがそんなことは一切感じさせず、歩くのを楽しめる。カケスがすぐ近くで鳴いていた。


小鳥ヶ島・赤城神社 大洞帰着


 赤城神社におまいりしてまた車道を歩き、大同のボート乗り場に帰着。わすか4kmを実に3時間近く掛かった。最近赤城山の管理者は遊歩道に力を入れているようだ。われわれのような気力も体力も衰える一方の、そろそろ山歩きもどうかな、と考えている高齢者にとってはうれしいことである。欲を言えば車道歩きの部分にしっかりした歩道を確保してもらえると、さらにいいんだけどなあ。




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