08.07.13(SUN) 月 山 出羽三山


 7年ほど前、妻の兄弟たちと鳥海山に登った時、その山頂から遙かな雲海に浮かぶ美しい山を見た。それが月山だった。山登りというのは一つ登るとそこから見える次の山に惹かれて、次々と山に囚われて行くものらしい。しかし鳥海山から見た月山ほど印象に残った山は少ない。


 コース:月山姥沢駐車場7:20→リフト下駅7:35⇒リフト上駅7:50→姥ヶ岳山頂8:20→牛首9:10→月山山頂10:10-10:40→牛首11:25→リフト上駅12:10⇒リフト下駅12:25→駐車場12:45 (所要時間5時間25分)

 駐車場:月山姥沢駐車場 公称500台 トイレはリフト下駅にある。月山ICから入れば駐車場まで走り易い舗装路である。

 月山リフトは土日は朝7:00から運転している。姥沢駐車場からリフト下駅までは15分くらい歩かされるが、早めに行けば、姥沢駐車場よりさらに上の姥沢小屋のすぐ下の路側に2〜30台は駐車可能である。我々は調査不足で、リフトは8:00から運転と聞いていたし、駐車場より上に駐車できることも知らなかったので、大分時間をロスした。
月山
鳥海山山頂から(01年7月撮影)
 月山 標高 1984m 
 リフト上駅から標高差 約470m
 コースタイム 4時間(昭文社山と高原地図8)


 梅雨も終わりに近く前橋は晴れる日もあったが、山形辺りの天候は気まぐれで、一週間前から見ている天気予報も日替わりで変化した。あまり気の進まなかったこの日(日曜日)だけが、ずっと変らずに曇りマークの影にお日様マークが出ていた。結局この一日だけのお日様マークに賭けて金曜日に宿の手配をした。


 土曜日は羽黒山の三社神社などに参拝した後、月山を戻るようにぐるっと半周して、予約しておいた志津温泉の清水屋旅館に入る。羽黒山では雨が降り出しそうだったのに、志津に着いた頃には青空が出て、姥ヶ岳と月山が目の前にすっきり見えた。夜中もますます晴れて、正面に北極星が輝き、それを中心に時間とともに北斗七星が沈み、カシオペアが登っていくのが見えた。頭上には星の海が広がっていて期待が膨らむ。
前日の夕方、旅館の部屋の窓から
姥が岳(左)、月山(右)

”明日天気になあれ”


 朝は期待通りに晴れて月山がはっきり見える。6時半にはしっかり朝食をとる。お弁当は要らないような気もしたが、例によって前日に予約して1人分(おにぎり二つ)用意してもらう。水は500mlのペットボトルを各1本ずつ持つ。忘れ物なしと宿を出たが、家に帰ったらバッグの外ポケットに宿の部屋の鍵が刺したままになっていた。早速速達で送り返したが迷惑をかけてしまった。


 はやる心を抑えて車で急な坂道を走り駐車場に着いたが、前を走る車はどんどん先に行ってしまう。あれ、もっと先かなとついて行ったら、なんと姥沢小屋のすぐ下から道沿いに駐車スペースが有って、車がずらっと駐車している。前の車はどうにか場所を見つけて駐車したようだったが、楽に停められそうな所はもうないので我々は駐車場まで戻って歩く。


姥沢駐車場 リフト下駅 リフト上駅


 リフト下駅はリフトにしてはかなりしっかりした大きな建物で、トイレや土産店、簡単な食堂まである。ニッコウキスゲが沢山咲いていた。リフトは前にガードの降りてこない簡単なペアリフトでちょっと怖いが、乗る時間は飽きるほど長い。


姥ヶ岳への登り
雪渓は苦手、ここのロープは道を示すもので握って頼ってはいけないそうだ。


 リフトを降りるともう森林限界は越えているようで、少し登ると遮るもののない大展望が広がる。目の前の朝日連峰や雲海に浮かぶ蔵王連峰、何より残雪の月山そのものが伸びやかに逆光の中に広がっている。姥ヶ岳山頂の下にはかなり広い残雪登りがある。軽アイゼンは持って来たが誰もつけないので、我々も付けずに恐々残雪を登る。勾配が弛むと姥ヶ岳山頂はすぐだった。


 
姥ヶ岳山頂付近
覗き込むと月山ICのある月山湖、志津温泉のある五色沼、月山駐車場がすぐ下に見える。
小さなエーデルワイス
ヒナウスユキソウ


 山頂付近はニッコウキスゲのお花畑で、クロユリは終わってしまったようだが、イワカガミ、ヨツバシオガマ、ハクサンチドリ、ハクサンイチゲ、ヒナウスユキソウ、チングルマ、ミヤマリンドウ、ウサギギクなどが一緒に咲いている。


 山頂で一息ついて展望を楽しみ、月山に続く稜線の木道をたどる。かなりの人と一緒に登ったはずだが広すぎてあまり人影が見えない。
姥ヶ岳山頂付近:バックは蔵王連峰


鳥海山が見える 月山ヘ続く道


 牛首までの整備された木道を坦々と歩く。途中残雪のトラバースがちょっと歩きにくい程度で、正に稜線上のプロムナード、こんなに楽しく歩ける山道は少ない。
姥ヶ岳を振り返る。


牛首 最後の残雪を登る


 牛首の分岐からは月山への登りになり、最後の残雪を渡ると勾配はきつくなる。途中かなり古そうな祠、鍛冶稲荷神社を過ぎる。社があったのか、かなり大人数の行事の舞台になるのか、広い平地がある。ここにだけ草丈の高い黄色い花(花はカラシナのような)が沢山咲いている。


朝日連峰 鍛冶稲荷神社


 山頂間近、たまに団体さんも来て、登る人、下る人が混じりあい富士山のように賑やかな時もある。
山頂間近


 山頂部は広い台地でその先にピラミッドのような山頂があり、その頂に月山本宮の社が建っている。そのピラミッドの手前右には月山頂上小屋がある。後ろの雲海の上には鳥海山も見えた。


山頂の社が見える 山頂の社の裏側


 小屋から本宮周辺には白装束のどちらかの講の人たちと思われる団体さんが沢山いた。その人達と一緒に本宮への階段を登ると、入口で神官がお払いをしてくれて(有料500円)小さなお守りをくれる。本宮へ進んでお賽銭を入れて参拝する。ここでもまた神官が長い祝詞をあげてくれる。反時計回りに左側の建物に入ると、ここはお寺の納経所のようなところで、ご朱印がもらえる。境内は隔離されて本宮意外は何も見えず、撮影も禁止である。本宮の裏の尾根に回ってみたが山頂標識のようなものはなかった。山頂標識などあまり意味のないもののようだが、僅かな時間でも、その周りで三々五々食事をしたり、お茶を飲んで風景を楽しむと言うのは、山登りの達成感や、充実感にとっては意味がないとは言えない。月山山頂はその中心がないというか、大きすぎて信仰登山の人たち以外は、行き着く場所を失っているような気がする。


 月山本宮の後ろの羽黒コースの尾根は東側はべったり雪が残り、西側はかなり急な崖になっている。尾根の上には8合目から羽黒コースを登ってきた沢山の人達の列が見えた。
月山本宮の後ろの羽黒コースの尾根


 昼食には早いので、一休みして下る。牛首からは長い雪渓を渡って直接リフト上駅に下った。出羽三山神社のご利益か、故郷の鳥海山に見守られていたせいか、妻が快調で、標準コースタイムより早いと言う、我々にしては驚異的な記録を打ち立てて、無事山を下った。
鍛冶稲荷付近
下る頃には北から雲が湧いて来たが、まだまだ登ってくる人たちの長蛇の列が続いていた。


ウサギギク ウサギギクとヨツバシオガマ


ヨツバシオガマ チングルマ(花も咲いている)


 参考:宿泊:志津温泉清水屋旅館 4世代の家族が迎えてくれる旅館と言うより民宿。
     駐車場は広い。
     展望風呂は五色沼越しに姥ヶ岳、月山が展望できて最高。手入れもよく清潔。
     食事は手造りの山菜料理と川魚の焼き物、トン汁ならぬ大盛りの牛汁。
     どぶろく、冬虫夏草酒、サルナシ酒のサービスあり。
     ただし建物は新しい建物の多い志津温泉の中では一番古そう。
     部屋にはクーラーも網戸も、勿論トイレもシャワーもない。
     今回は窓を開け放っても虫は入らなかったし、クーラーの必要もなかった。
     虫と言えば防虫用品はいろいろ持って行ったが、登山道にブユなどはほどんどいなかった。





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