08.06.13(FRI) 金 精 山 日光


 千手ヶ浜のクリンソウを見に行くのにそれだけでは時間が余ってしまう。そのあと小田代ヶ原から戦場ヶ原を歩くのがいつものコースで年相応だが、ちょっと目先を変えたいなあと、まだ行ったことのない金精山に登ってみることにした。我々は4時間も掛かったが、登山口に表示されたコースタイムは単に往復なら約2時間、標高差は約450mの山である。


 コース:金精トンネル出口(湯元側)駐車場10:15→金精峠10:55→金精山12:05-12:30→金精峠13:30→14:10 (所要時間3時間55分)


 駐車場:金精トンネルを湯元側に抜けると、すぐ右側に20台程度駐車可能な、舗装された駐車場と登山口がある。トイレはない。

 登山口に林野庁が平成13年に立てた「登山をする方々へ」という看板がある。書き写すと「金精山山頂付近には多くの亀裂が生じており、土石の崩落する恐れがあるので、山頂及びその周辺には
立ち入らないで下さい」とある。地図上に亀裂の位置、巨大な亀裂を調査中の写真が添付されている。また日光警察署と山遭協が立てた看板もあり、コースタイムと7項目の注意事項が書かれていて、登山カード入れがある。登山道の整備も行われている。
金精山


 駐車場から見上げる金精山は、間近に、如何にも剣呑な様相でそそり立っている。何か久し振りにうきうきする。この金精峠からのコースは今上天皇が皇太子の時、奥白根山に登られたと書かれているので、厳選されたいいコースに決まっている。奥日光の展望を楽しみに急な階段状の道を登る。


 

登山口近くのシャクナゲ 登山口近くのシャクナゲ


 登り始めてすぐ、まだ駐車場が下に透けて見える程の所にシャクナゲが咲いていた。案内書にはシャクナゲのことは何も書いてなかったのに、これは運がいい。周りを見回すとこちら側はここだけだが、駐車場の先の小さな尾根には沢山咲いているのがみえた。


金精峠からの展望 金精峠:金精神社


 一ヶ所ガレたザラザラの崖を渡ったりするが、ぐんぐん(?)高度を稼いで40分ほどで金精峠到着。奥日光側の展望のよい開けた峠である。金精峠は菅沼に下るルートと、金精山、温泉(yusen)ガ岳へ登るルートを分ける。金精神社に手を合わせて立派なご神体を拝む。


 気持ちのよい峠で展望を楽しみながら一休みして、ますます険しく、登ることなど出来そうもないように見える金精山に向う。しばらくは疎林の中の穏やかな道で、シャクナゲが沢山咲いている。ミネザクラやムシカリも丁度いい。期待せずに来て、いいタイミングだったようだ(えらく得した気分)。
金精峠の上のシャクナゲ


 シャクナゲは花付きもよく、つぼみも多いから、まだ一週間くらいは持ちそうだ。
金精峠の上のシャクナゲ


崩壊した崖
こんなとき地震が来たら?
ポーズなんてとってる場所じゃないよ。
崩壊した崖の上部


 疎林を抜けると崩壊した崖の縁を、張ってあるロープを頼りにジグザグに登る。崖そのものはかなりの急勾配である。短い鉄梯子と、古い、曲がった、片側が浮いてふらふらする、頼りない木の梯子を登ると、崖登りは終わりである。


 山はどごでも安全と言えば安全、危険と言えば危険である。リスクは常にある。次の日の朝、家でのんびりしていたら地震(岩手・宮城内陸地震)が来た。あんな崖の下や梯子の上に居るときに、震度6強でなくたって、震度4の地震だって、居合わせたらと思うとぞっとする。幸い報道にはないが、栗駒山で怖い目にあった登山者は居なかったのだろうか。
お隣の湯泉ガ岳


 地震と言えば2004年10月23日(この日も土曜だった)の新潟県中越大地震も、谷川岳のオキの耳の岩の上で、一の倉沢を見下ろしながら食事をした次の日だった。赤城の不動大滝の下にいたとき実際に地震に遇ったこともある。遇ってしまえば運が悪いと諦めるしかないが、影響する範囲が広いだけに山で地震に遇ってぞっとする(で済めばいいが)確率はそう低くはないような気がする。


 崖を登り切り、林の中の道を少し登ると山頂へ出た。枯れた木の幹に山頂プレートが打ち付けてある。山頂から奥日光を見下ろす展望は、高度感があってぞくぞくするほどいい眺めだ。ただこのコースは山頂を含めて、北側は疎林に阻まれてあまりよく見えない。ずっと菅沼も尾瀬の燧も至仏も見えるが枝越しになってしまう。山頂からの奥白根山も枝の間からしか見えなかった。
金精山山頂


 朝はいい天気だったが、登っているうちに雲が広がり、山頂では小雨まで降った。山頂から下ろうとしているとき、湯元から前白根、奥白根と登って金精峠から湯元に戻るという、中年の男性が1人でやってきた。朝はいい天気だったのにちょっと残念ですね、と言いながら、金精山の山頂で休もうともせず、天狗のように軽い足取りで走るように下っていってしまった。雨はすぐやんだが尾根の上は北からの風が強く急に冷えた。


帰りも同じシャクナゲの道を下る。 金精峠付近から見た金精山(右)


 金精峠では、我々よりは若そうな女性二人、男性一人の3人組に出会った。元気そうな男性によると、午前中に金精山に登り、反対側の温泉ガ岳にも登って降りてきたところだという。三人は菅沼のほうへ下っていった。駐車場への下りでは、山登りらしくない格好をした(カメラマンかな)青年1人とあった。


 さて目的のクリンソウについてはときタマ日記に書いた。赤沼車庫ではまた小雨が降っていたが、クリンソウを見て赤沼車庫に帰った時には、信じられないような好天に戻っていた。戦場ヶ原を横断する自動車道路はズミの花に包まれていて、こんなに大きなズミの木がこんなに沢山有ったのかとあらためて驚いた。


ズミの花 男体山とズミ





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