07.08.27(MON) 地蔵岳 赤城山


 赤城山の新坂平から大沼湖畔近くに出来た”句碑めぐり遊歩道”は気持ちよく歩ける林間の遊歩道である。ただ新坂平の先の展望台下バス停から赤城少年自然の家前まで、片道20分程度だからちょっと物足りない。句碑めぐり遊歩道の両方の入口には地蔵岳登山口があるので、遊歩道を使うと”車道を歩かずに”登り下りに違うコースを歩いて地蔵岳登山が出来る。駐車場は新坂平側を使う。赤城少年自然の家側には駐車場がない。


 コース:句碑めぐり遊歩道・新坂平側入口10:10→句碑めぐり遊歩道赤城少年自然の家側入口=地蔵岳登山口10:30→最初の尾根・大同登山口分岐11:00→小さなピーク11:20→山頂11:30-12:20→新道分岐12:25→新坂平駐車場12:40→句碑めぐり遊歩道、新坂平側入口駐車場12:50 (所要時間2時間40分)

 駐車場:句碑めぐり遊歩道の新坂平側入口先の駐車場。
 登山口:句碑めぐり遊歩道の新坂平側と赤城少年自然の家側の両方にある。
 
地蔵岳


 句碑めぐり遊歩道の新坂平側の入口のすぐ先に、舗装道路の両側を拡幅した形の広い駐車スペースがある。大型バスでやってきた小学生たちと一緒になる。駐車場の先から遊歩道に入るとすぐ地蔵岳登山口がある。


新坂平側遊歩道入口近くの駐車場 句碑めぐり遊歩道
正面は黒檜山


 賑やかに地蔵岳へ登って行く小学生達に別れて遊歩道を下る。木材チップを敷いた歩き易い道である。所々に句碑が建っている。富田うしほの句碑「迅雷や 黒檜の肩の うるし雲」の前の道はほぼ直線で、正面に黒檜山が見える。


少年の家から地蔵岳への登山道 笹を分けるところもある。


 遊歩道の終点、赤城少年自然の家の手前まで行き、案内にしたがって地蔵岳登山道に入る。赤城山でも少なくなったミズナラの巨木が残る笹原を登る。道は上の尾根までほとんど直登状態、ジグザグ登りはない。熊と出くわしそうな深い笹を分け、マムシが出そうな岩だらけの歩きにくい道を登る。頼りの熊鈴はのろのろ登るザックの背中ではほとんど鳴ってくれないので、外してストックのストラップに付けて登った。


尾根間近
歩きにくいほぼ直登の道
頭の上はこんな感じ
覆われていて暗いのだ。


 頭上は落葉樹の葉に覆われて暗い。ただ白樺にもみじだから秋は悪くないだろうな。そして最初の尾根に出る。マユミの木が一本残された広い笹原(ほとんどはげちゃってるけど)で、とにかく明るい広々した所に出られてホッとする。ここは大同に下る分岐にもなっている。ほぼ同じ高さに鳥居峠の駐車場が見えた。
 ここまで登ると大分勾配も減って登り易くなる。道は地蔵岳の斜面を巻きながら登り、山頂手前の小さなにピークに出る。もう山頂まで僅かで山頂にいる人たちが見えたり話し声も聞こえてくる。余裕が出て咲いている花の写真を撮ったりしながら、取り壊されて整地されたロープウエイの駅の跡地を登ると山頂である。途中であった人は下ってきた同年輩の男性1人だけだった。


大沼と黒檜山 山頂風景


 山頂は小学生や付き添いの人たち、中高年のご夫婦など沢山の人で賑わっていた。ただ山頂は広いので、分散すると余り込み合った感じはしない。少し時間が余ったのであちこち歩き回ったり、花の写真を撮ったりして時間をつぶし、小沼と長七郎岳のなだらかな稜線を見降ろす丘の上で昼食にした。赤とんぼが空を蔽うように沢山飛んでいる。長七郎岳を一回りとも思ったが赤城山は結構発達した積雲に囲まれており、それこそ迅雷にでも捕まったら、楽しい山歩きどころではなくなるので欲張らず下山することにする。


アザミ アキノキリンソウ


 花はマツムシソウ、アキノキリンソウ、ハクサンフウロ、ノアザミ、ヤマハハコ、ツリガネニンジン、ハナイカリ、ウメバチソウ、ワレモコウ、オンタデなど
 下山コースは勿論車を置いた句碑めぐり遊歩道の新坂平側の入口へ直接下る(つもりだった)。下山口は山頂の西側で、案内板はあるが初めてだと判りにくいかもしれない。林の中の崩壊の進んだ、がたがたの歩きにくい道である。苦労して10分も下ったら、左手に短い笹を刈ったまだほとんど踏まれていない新しい道が出来ている。この道は毎年小学生が登る道なので、安全のために痛んだ道を付け替えたのかなと思ってそちらを下ることにする。歩きやすく走るように下る。 
 だが一向に元の道に合流する気配が無いまま、右手に牧場の柵が出てきた。左に分かれて右手に柵では元の道には戻れない。どうも分岐したのは間違いだったらしい。しかし大方見当は付いているので柵に沿って下る。そのうち正面の木の間越しに新坂平のエネルギー資料館の赤い屋根が見え始め、その手前の広い駐車場に抜け出した。


新しい道? トリカブト


 この道は昔から現在の2万5千分の一地図にも載っている地蔵岳への登山道である。しかし何年か前、この道を初めて歩いてみようとしてここに来たことがあった。入口近くに句碑があり、そこまでは立派な道があったが、その先は牧場の柵と背の高い笹に覆われていて、道は跡形も無く失われていた。山の雑誌や本に拠れば国土地理院の2万5千分の一の地図は山登りには必携で、いかにして地理を読むか、現在地を把握するかが金科玉条のごとく書かれている。だがその地図も万全ではない、あるはずの道が無いのだから。考えてみれば万全であろうはずが無いということを、この時学んだ。この道がまた開かれたことによって2万五千分の一の地図の権威は保たれたが、安全に何かを学ぶチャンスは失われたんじゃなかろうか。が、まあ疑い深くなるより、信じる者のほうが救われる確率が高いのも確か、かな。
 間違いとはいえ、歩き易い新しく開かれた道を歩けたのは運が良かった。間違えて下った登山口にも句碑は有ったし、句碑めぐり遊歩道を使って地蔵岳を周遊すると言う目的は達したが、”車道を歩かずに”という大切な命題は失われてしまった。エネルギー資料館から車を停めた駐車場まで僅か5〜6分だが、ぶんぶん飛んでくる乗用車やバスに、はねるなら勝手にはねろと開き直って黙々と歩いた。





トップページへ 前へ リストへ 次へ




inserted by FC2 system