07.06.01(FRI) 御 座 山 信州東部(南相木)


 5年前の6月2日に1人で登った時、シャクナゲが丁度良かったので、今回は妻と二人、山頂のシャクナゲを楽しみに、先回と同じ唐沢の登山口から往復した。天気予報は晴天で群馬は晴れていたが、佐久平へ抜けたら信州は曇天でがっかり。登山口では今にも降り出しそうで、最近腰痛対策で軽量化して好天の時は薄手のカッパの上着しか持って行かないので、不安。二人で顔を見合わせてしまった。


 コース:上栗生・唐沢登山口9:55→不動の滝10:50→2050m峰11:55→山頂12:25-13:00→2050m峰13:35→不動の滝14:30→登山口15:10 (所要時間5時間15分)

 上栗生から更に唐沢に沿って非舗装の林道を標高1450m地点までは車で入れる。

 駐車場・登山口:林道終点?に20台程度駐車可能なスペースと登山口がある。登山口には立派な案内図の表示板がある。トイレはない。

 蛇足:Yahooの地図を見ると、南相木ダムから御巣鷹山トンネル経由で上野村に抜けられるようになっている。先日の湯ノ沢トンネルに味を占めて、帰りに南相木ダムまで上がってみたが、御巣鷹山トンネルは工事中の札が下がり閉鎖されていた。南相木村役場によると、工事用道路で一般道として開通したことはなく、計画はあるがまだ何年か先とのこと。
南相木村から見た御座山


 御座山(ogurayama)も茂来山も、あるいは男山や天狗山も勿論信州東部の山だが、西上州の山を紹介する場合はその中に含めることになっているようだ。奥秩父の両神山や二子山、白石山や観音山まで、西上州の山として紹介されているのと同じである。一連なりの山として捉えているからだろう。上州に住む人間としては少し領域が広がったようで悪い気はしないが、信州や秩父に住む人は”何言ってんの”なんて思っているかもしれない。信州や秩父にはもっと大きないい山が一杯あるから気にしないか? 御座山は標高2112mの高峰?で西上州の山の最高峰である。谷川岳1963mや赤城山1828mより高く、スッパリ切れ落ちた山頂の高度感や展望は谷川岳のトマの耳にも引けをとらない?と思うが、それほど大きな高い山との印象も与えず、世間に聞こえることもないのは、西上州の山の盟主(信州に有るのが気になるけど)にふさわしいと言うべきなのだろうか。


 駐車場には6〜7台の車が駐車していて、ほとんど同時に到着した女性二人を含む5人連れの人たちが登山準備中だった。登山口入口の大きな案内図によれば、登山口の標高1450m、山頂の標高2112mだから標高差662m、距離2.5Km、コースタイム2時間30分となっている。
駐車場:登山口の前から


ラショウモンカズラ 不動の滝


 登山口から沢に添って歩き出す。沢には比較的新しい深い侵食があるので、5年前とは少し道が変ったかも知れないなどと思いながら登る。ラショウモンカズラは咲いていたが、クワガタソウは一つも咲いていなかった。妻の話では葉っぱはいっぱい有ったということだから、今年は少し遅いのだろう。
 車では入れない林道の終点を過ぎると、手入れのいい新緑の唐松の中を登る。すぐに落葉樹の森のジグザクの登りになり、やがてガラガラの岩屑の道を登るようになると不動の滝に着く。不動の滝まで約1時間の登りだから一休みに丁度いいところである。


巨木とミツバツツジ


 不動の滝を過ぎると所々にミツバツツジが有るがまだつぼみが多い。道は嫌になるほどずっとジグザクで急な崖を登っていくが、いい道で歩き難い所はほとんどない。やはり鹿の食害が目立ってきている。やがて山頂まで500mの表示のある垂直な岩の崖の下に出る。道が平らになり少し広くなってホッとできる場所である。これを過ぎるとすぐ鎖の3連続くらいの感じで急な崖を登る。手掛かり足掛かりはしっかりしていて鎖も有るから怖くはない。鎖場の上から金峰山や瑞牆山が見える。シャクナゲの木だらけの森を抜けると2050m峰の山頂?で石の祠がある。ここのシャクナゲは前回来た時も花もツボミもなかった。アズマシャクナゲじゃない?
 
倒木のアーチ


 祠から数分で御座山山頂が見える崖の上に出る。なかなかの絶景である。ここから一旦鎖で急降下して御座山に登り返す。ここを登っていたら、この山で初めて単独の男性が下ってくるのに出遇った。5年前の6月2日には山頂直下から山頂にかけて、沢山咲いていたシャクナゲも、今年はほとんど開花していなかった。まだ硬いつぼみでそれも多いとは思えない。コイワカガミもつぼみが伸び始めたところでまだ咲いていない。世の中都合のいい時だけ温暖化が言われるが、今年の山は寒かったようだ。
 山頂近くの森の中の避難小屋が建て直されて、真新しい建物になっていた。アルミサッシの大きな窓が片面に2つも並んでいる、頑丈そうな明るい広い小屋で、土間から30cm程高くしたしっかりした床も張ってあって、20人くらいなら楽に快適に泊まれそうである。好きな人にはたまらないだろう。
2050m峰の北端から見た御座山山頂


僅かに開花したシャクナゲ
ここ一箇所しか咲いていなかった。
同左


 山頂に抜けると天候も回復してきて降り出す心配は無くなった。標高が高いだけに展望は素晴らしいが、八ヶ岳はすっぽり雲をかぶって顔を出そうとはせず、浅間山も雲の中だった。山頂には鎌倉から来たと言う同年輩のご夫婦が居て、西上州の山の名前などを話した。携帯を持った若い男性は、ずいぶん晴れて来ましたよ、と八ヶ岳が顔を出すのを楽しみに待っていた。山頂を過ぎた見晴らしのいい岩の影で食事を始めたら、同年輩の男性ばかり6人ほどのパーティがやってきて、山頂はとたんに賑やかになった。我々が下山を始める頃には、下の駐車場で一緒だった女性を交えた5人のグループも到着したので狭い山頂は鈴なり状態だった。


山頂風景 山頂の岩陰のコイワカガミ


 山頂は片側が切れ落ちた断崖のふちで、覗き込むと身がすくむ。展望絶佳でお隣の岩峰も見事だし、北相木の谷の新緑もいい。当日は八ヶ岳、浅間山が隠れていたのが残念だが、瑞牆山から金峰山、甲武信岳に至る奥秩父の主稜線、両神山、お馴染みの西上州の山々、お隣の天狗山と男山などが見えた。山頂稜線の岩の上に一坪ほどのコンクリートの朽ちかけた基礎が残っている。佐藤節さんと言う方の西上州の山と峠という本を見ると、昭和44年当時、ここに電波観測所の建物が建っていたという。電波観測所というと最近は野辺山の宇宙電波観測所を思うが、当時の電波観測所とは何だったのか、何故廃棄されたのか、電波に疎い僕は知らない。
山頂の先の独立した岩峰
遠くの三角は茂来山




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