06.09.10(SUN)〜11(MON) 仙丈ヶ岳 南アルプス


 たった三人とはいっても、お互いのスケジュールを調整して山へ行くというのは結構大変である。とくに当日の天気は神頼みしかなくなってしまう。例によって会社のOB、Oさん、Nさんと3人で南アルプスの仙丈ケ岳に出かけた。みんな普段の心掛けが良い人たちばかりなので、天気の神様は味方してくれたようで幸いだった。甲斐駒ケ岳も登る計画を立てて出かけたが、こちらは取りやめて正解だったようである。次の日芦安はかなりの本降りだった。


 コース1日目:芦安市営駐車場⇒広河原⇒北沢峠13:00→大平山荘13:15→馬の背ヒュッテ16:05(泊) (所要時間3時間05分)

 コース2日目:馬の背ヒュッテ6:15→仙丈小屋7:15→仙丈ケ岳山頂7:50-8:05→小仙丈ヶ岳9:05→大滝の頭10:15→北沢峠11:35⇒広河原⇒芦安市営駐車場 (所要時間5時間20分)



 芦安市営駐車場は日曜ということもあり上も下もほぼ満杯だった。帰り(火曜5時頃)上の駐車場は我々の車しかなかった。

仙丈ヶ岳山頂


1日目(北沢峠→馬の背ヒュッテ)


 高崎のOさん宅7時、佐久IC経由で10時半に芦安市営駐車場でNさんと合流。約3時間半である。待ち合わせがうまく行ったので、予定より一本早い10時40分のバスで広河原へ入る。いづれにしろ広河原は12時20分発のバスに乗る。充分待ち時間があったのでここで昼食にした。
 広河原のバス発着場は今年からアルペンプラザのすぐ横から、100mほど下流の広々した広場に移されたようである。
広河原バス発着場


 北沢峠へのバスは満席で、積み残しが出たので同時刻にもう一台バスが用意されたようである。野呂川沿いに約25分走る。狭いがたがた道だからかなり長く感じる。北岳側の小太郎山の急な崖に深く刻まれた、何本もの直線的な鋭い沢と滝が印象的である。北沢峠が近づくと僅かに駒ケ岳の山頂が見える場所があり、おお見えてるよ、と嬉しくなる。


 北沢峠は森の中だが、バス停のある長衛荘前は、テントを張ったバスの待合所や立派なトイレ等があって、広々した感じがする。我々はNさんの進言に従い藪沢新道を馬の背ヒュッテまで登った。バスの道を少し戸台側に進むと登山口の案内板がある。藪沢新道の始まる大平小屋までは、バスの道をショートカットして、標高差約80mの急降下である。
鋸岳)


 大平小屋前で一息ついて藪沢新道に入る。キャンプ場に熊が出たそうで注意書きがある。鈴を出して下げたが、登りでは体が揺れないのかあまり鳴ってくれず頼りにならない。樹林帯の登りでまったく展望は期待できないかと思ったが、暫く登ると鋸岳が見え、更に登ると駒ケ岳も見えた。やがて道が沢と合流するようになると、トリカブトやグンナイフウロ、センジュガンピ、キオン、ミソガワソウ、サラシナショウマなどの花が咲き、赤く色付き始めたナナカマドの実と共に疲れを癒やしてくれる。藪沢新道は道の傷みもそれほどひどくなく、安全な歩き易い道である。


トリカブト グンナイフウロ


 何度か休憩して、もう馬の背ヒュッテ直下の大滝の頭からの道との合流点で、やれやれという感じで休憩する。藪沢新道を登り始めた時は、尾根道を行けばすぐ駒ケ岳が見えたのかも知れないのにと、どちらの道を行くのが正解かが話題になったが、この頃にはこの道を登ったことに大いに満足していた。沢の崖にウサギギクが残っていた。
駒ケ岳山頂と摩利支天


 尾根通しに来るより時間は掛かったと思うが、馬の背ヒュッテには計画通りほぼ4時に到着した。駒ケ岳が見えるベンチにはすでに4〜5人の先着グループおり、同じバスで我々と同じコースを登った、同年代のご夫婦も後から到着した。
 馬の背ヒュッテは感じの良い若い男性が、二人で切盛りしているように見えた。今年から始めたという生ピールはすでに売り切れでちょっと残念。寝室は広いワンルームで、よくある二段式ではないので広々している。その上布団と布団の間が空いているというのもめったに無いことである。勿論一人で布団一枚占有できた。水場とトイレは外で、特にトイレは入口から最も遠い建物の裏にある。今日のような日はいいとして、雨が降ったり吹かれたりしたら、夜トイレが近い人にはちょっと辛いだろうな。
馬の背ヒュッテ


 夕食はカツカレーで特別美味くはないが不味くもない。何年来もこのメニューだけでやっているとのことで、昔は不味いので有名だったそうだ(とその若いヒュッテの人が言っていた)。お代わり自由。私は勿論一杯で充分だった。この日の宿泊者は10人でガラガラだから、その場を占拠してNさんが担いできた焼酎で盛り上がったが(私はカンピールでお付き合い程度)、消灯が8時だから健康的なものである。


 二日目(馬の背ヒュッテ→仙丈ケ岳山頂→小仙丈が岳→北沢峠)


 朝5時ごろには起きた。どうにかお天気は持ってくれたらしい。ゆっくり食事をして山頂に向かう。15分も登ると尾根にでる。一気に視界が開けて3000mの山らしいスケールの大きな雄大な展望が目に飛び込んでくる。お隣の甲斐駒ケ岳、馬の背の向こうに鋸岳、八ヶ岳、伊那谷側には中央アルプスと木曽駒ケ岳が見えた。仙丈ケ岳の山頂はガスに隠されているが、カールの底を仙丈小屋へ登っていく先行の登山者が見える。


山頂へ出発 カールと仙丈小屋
奥のガスに隠されたピークが山頂


 駒ケ岳山頂は朝は見えていたが、時間がたつにつれて、雲が湧いて見えにくくなった。
朝の駒ケ岳


 同じ日にNさんの奥さんは南八ヶ岳を縦走していたそうである。ご夫婦が同じ日に別の山に登って、お互いが歩いている山を眺め合うなんて、何かロマンチックだなあ。
馬の背・鋸岳・八ヶ岳


仙丈小屋と馬の背ヒュッテ
山頂へ


 仙丈小屋は新しい奇麗な頼りになりそうな小屋で、小さな発電風車や太陽電池が沢山並んでいる。素泊まりだけでなく連絡しておけば食事も出してくれるそうである。一泊で登るならここまで登ってしまう手もある。


もう一登り 登頂バンザイ


 約1時間半で山頂到着。着いたときはガスっていたがすぐ晴れた。我々が山頂に居た15分ほどの間は晴れていたが、我々が下り始めるとまたすぐガスにつつまれてしまった。本当に神様と一緒に歩いているように運が良かった。
千丈ヶ岳山頂


駒ケ岳仙水尾根に湧く積乱雲 下山


 下りは小仙丈ヶ岳経由で尾根通しに直接北沢峠に下る。山頂付近の丈の低いハイマツの縁では、すでにウラシマツツジの紅葉が始まっていた。ナナカマドの実も赤くなっている。岩陰にはトウヤクリンドウが咲いている。山を下るにつれてハイマツの背丈が高くなるのがはっきりわかって面白い。正直なものである。


ウラシマツツジ トウヤクリンドウ ナナカマド


 展望はいいが、南アルプスの北岳側は山頂部がガスに隠されていて特定できない。駒ケ岳の山頂も、次々湧き上がる白雲に隠されてたまにちらちら見える程度である。小さなピークや急な下りが続き、道はかなり痛んでいて、ごろごろした岩や露出した木の根などが多く、けつまづいて転んだらかなり痛そうである。下りは急勾配に見えると言うこともあるが、こちらから登るのはかなり大変そう。大滝の頭の馬の背ヒュッテへの分岐はかなり下で、それより下は森の中で展望はほとんどない。
鋸岳と白雲(小仙丈ヶ岳付近)


大滝の頭:馬の背ヒュッテ分岐 北沢峠


 北沢峠には11時35分には着いてしまった。ここで2年前、北岳に登ったときと同じ失敗を又繰り返したことに気付いた。北沢峠12:55のバスで広河原13:30着はいいのだが、広河原から芦安に下るバスは16:00まで無いのである。工事中とかでタクシーも走らない。駒ヶ岳登山の中止は前日馬の背ヒュッテで既に決めていたのだから、バスの時間表を見直して、今朝30分早立ちして北沢峠11:05のバスに間に合うようにすべきだった。そうすれば広河原12:25のバスで芦安に下れ、14時にはのんびり出来たのである。お陰で雨模様のアルペンプラザの硬いベンチで2時間半のペナルティを喰った。
 芦安着17:14。バス発着場前の温泉ロッジに泊めてもらった。遅かったので通常の夕食は間に合わなかったが、どんぶり物ならできると言う。山小屋泊まりを考えればなんだってご馳走である。おかげで温泉付きでのんびり宿泊して山小屋よりずっと安かった。温泉ロッジには遅くなったのにお酒のおつまみなど気を使ってもらって楽しい時間が過ごせた。感謝である。




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 参考:
   
高崎7:00⇒松井田IC7:58⇒佐久IC8:25⇒須玉IC9:50⇒白根IC10:05⇒芦安10:30
                                      (所要時間3時間30分)

   芦安8:45⇒白根IC9:15⇒須玉IC9:30⇒中山峠⇒下仁田IC11:43⇒吉井IC11:55⇒高崎13:40
                                      (所要時間4時間55分)


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