06.05.04(SAT) 烏帽子岳・シラケ山 西上州


 コース:烏帽子岳登山口9:40→沢の分岐10:30→尾根11:07→烏帽子岳山頂11:20−11:40→シラケ山山頂12:30-13:15→マル山頂13:55→尾根の分岐14:05→烏帽子岳登山口15:10 (所要時間5時間30分)

 駐車場:大仁田ダムを通り過ぎて坂を上って最初のヘアピンカーブの手前。非舗装で20台程度駐車可能。駐車場は大仁田ダムの真下の三ツ岩岳登山口前の駐車場ほか付近に何箇所か駐車可能。トイレは三ツ岩岳登山口にある。

 この日は流石にゴールデンウイークとあって、大仁田ダムの下には9時半ごろ到着したが、どの駐車場もほぼ満杯だった。
烏帽子岳山頂部


 また山に春が来てアカヤシオの季節である。今年西上州の花付きは悪いらしい。開化も遅れているようである。昨年は4月22日にお隣の三ツ岩岳に登った。烏帽子岳に登るつもりで出掛けたのだが、三ツ岩岳山頂がピンクに染まっているのを見ての予定変更だった。今年は三ツ岩岳の誘惑に打ち勝って烏帽子岳に登ろうと決めていたが、烏帽子岳は三ツ岩岳より標高が高いし、開花の遅れも見越して5月の4日に出掛けた。


烏帽子岳登山口前の駐車場
落葉高木の沢


 駐車場から見ると周囲の山は新緑にもえ、所々ヤマザクラの白がアクセントになっている。昨年三ツ岩岳に登った時には、同じ場所から険しい崖を彩るミツバツツジやヤシオの赤い色が見えたのに、今年は見当たらない。登山口からはすぐ落葉高木の深い沢(シポツ沢)を登る。車の割には人は少なく、駐車場で挨拶して先に登って行った女性二人組、後から我々を抜いて行った少し若い二人連れ位しか居なかった。


 落ち葉に厚く覆われた沢を渡る。水は澄み切っていて、風倒木か崖と共に崩れ落ちたのか、巨大な倒木が何本か道をふさいでいる。 沢の左に張り出した小さな岩稜を、ロープを頼りに越えるあたり、高い崖にミツバツツジとヒカゲツツジの一群れが咲いている。やがて分岐(奥の二俣)に出る。分岐の案内は無いから、うっかりしていると直進してしまう。直進すればマルの西稜(郡界尾根)に登り、マルを越えて烏帽子岳に至る。左折すれば直接マルと烏帽子岳のコルに抜ける。直進の方が多少勾配がゆるく登り易いと言われるが、烏帽子岳より高いマルを越えねばならず、これもなかなか大変で、少なくとも時間は余計に掛かる。我々は勾配が急でロープが3〜4箇所ほどある左の沢を登った。
ヒカゲツツジ


 この沢(崖)は転がったら止まりそうも無いほど急なザレた沢だが、道(踏み跡)もロープもあるので注意して登るしかない。(9年前に来た時には特に道もロープも無かった)。ここでも単独の男性に抜かれ、下ってくる二組ほどの人に出会った。落石があったら大変だが、当たったら怪我をしそうな大きな浮石は少なく、細かいザレた岩屑がほとんどなので、登りにくいが落石の危険は少なそうだ。しかし落石には気を遣う。


尾根のアカヤシオ 山頂のアカヤシオ


 尾根に抜けるとやっとアカヤシオを身近に見ることが出来る。マルを越えてくる人、烏帽子岳から下る人でかなり混んでいる。特に烏帽子岳山頂への急な登りは一方通行しか出来ないので渋滞している。山頂直下の5m程の崖登りはロープも無く、木の根、岩角を頼りに登るが、木の根も頼りなく岩も動くものが有ったりして怖い。これを越えればアカヤシオに囲まれた、眼下にさえぎるものの無い岩峰の山頂である。 


山頂からの展望
 春霞の中に黒滝山、鹿岳、妙義山が重なって見える。右の白い雲の下にはかすかに榛名山も見える。
 手前の枝に花が付いていれば言うことなしだが、残念ながら花はない。今年の西上州のアカヤシオの状態を象徴していることになるのだろう。


 山頂は丸く狭い。できれば二人だけで占有したいような山頂だが、登る途中で出会った下る人が、”山頂は人で一杯だよ”と言っていたほどではなかった。少し下で食事をしていた5〜6人のグループを含めて20人ほどだろうか、しかしすぐ10人ほどのグループが下って行ったので、山頂のプレートを入れて記念撮影したり展望を楽しむ余裕はあった。山頂の花は少なく、その木も沢山の人たちに見られて、少しくたびれているように見えた。


 12時にはまだ時間があり、次々新しい人達が山頂に到着するので、何時までも山頂を占領しているわけにも行かない。シラケ山まで足を伸ばすことにして、烏帽子岳をコルまで下る。下る途中で駐車場で遇って先に登った二人組みの女性達に再会した。”早かったですね”と言われたが、彼女達は郡界尾根に抜けマルを越えてきたと言う。その時間差である。
 コルには「天狗岳横道コース」を示す新しい案内があり、マルを越えずに東側を巻く。振り返ると目の前に今登った烏帽子岳の山頂部がぬっと立っていて楽しい。マルを過ぎると暫くは”アカヤシオの咲く”尾根道だが、まだツボミで花付きも悪いからちらほらである。すぐに尾根通しの岩峰をさけて岩峰の西側を巻く道が分岐する。岩峰の中腹にアカヤシオとミツバツツジの濃い所が見え、そこを通るのかなと楽しみにしていたら、残念なことに巻き道はどんどん下ってしまい、見上げても見えなかった。道端の一本のミツバツツジとエイザンスミレがなぐさめてくれる。
岩峰の巻き道
奥のピークがシラケ山


 巻き道は歩き難い岩場やガレ場も無く、木の根草の根に邪魔されることも無く、急激な登り下りも無い歩きやすい安全な道である。ただシラケ山を含めた岩峰を全部巻いてしまって、天狗岩側から登り返す(僅かだが)形なので、山を見ながら歩いているとちょっと遠い気がする。シラケ山だけ往復するなら天狗岩からのほうが、標高差も距離も少なく合理的である。天狗岩との分岐に案内はあるがシラケ山の名前は一切無い。岩峰コースを烏帽子岳側に入ればよい。唐松林を2〜30m登れば簡単に山頂へ抜ける。


シラケ山のアカヤシオ シラケ山山頂


 山頂には特別標識も何もない。4〜5人のグループが居たが我々が付くとほぼ同時に下って行った。付近の一角は特にアカヤシオが多く花付きのいい木もある。だが山頂に居た人たちの話では昨年の10分の1だと言う。ヒカゲツツジが多くあちこちに咲いている。展望は最高で少し遅くなったが山頂を占領して食事にする。目の前の岩に一体化したような風化した石標の頭があり、626の金属プレートが打ち込まれていた。
ヒカゲツツジ


シラケ山からの展望
中央少し上の黒い小さいピークが烏帽子岳
 その右の少し遠くの山が三ツ岩岳、左の丸いピークがマル、巻き道は左手近景の山の更に左側の麓を巻いてくる。アカヤシオはご覧のようにやはり寂しい。 花付きのいい年に又来てみよう。


 360度の展望を楽しみながら、南の山間に見える大きなダムはなんていうダムだろう、なんて言っていたら、丁度やってきた単独の同年輩の男性が「あれは神流(kanna)川ダムだよ。揚水式発電所の下のダムで、上のダムは長野県側にあって、発電所は地下500mにある。全部稼動すると発電量は282万kwだ」などと、すらすら教えてくれる。「へー、よく知ってますね」と言ったら、「僕は東電の回し者みたいなもんだから」などとニヤニヤしている。話し好きな方で100万ボルトの送電線の話から、オール電化の経済性まで教えてくれた。
荒船山を含む県境の尾根の上に
ほとんど雪の消えた浅間山が見えた。
県境の尾根のこちら側はもちろん群馬県だが
浅間山の稜線も県境でその向こう側も群馬県。


 その男性は他にも面白い話題を提供してくれて、天狗岩のほうに下っていった。我々はもと来た道を辿り、今度はマルの山頂まで登り、郡界尾根を下り、シボツ沢を下って駐車場に戻った。マル山頂から郡界尾根の下りもアカヤシオが咲いていて、花付きのいい年は楽しめると思う。



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