04.07.20(TUE) 北 岳(1日目) 南アルプス

 今年は体調がいいので北アルプスの槍ヶ岳か南アルプスの北岳に登ろうと決めて、ウイークデイで好天の続く日を狙っていた。天気予報では北アルプスが中々安定しないので、まず好天続きの南アルプスの北岳に行こうと前日に決めた。しかし行って見るとずっと好天続きだったはずが、北岳山荘の人の話では17日からの3連休もずっと天気は悪く、青空を見たのは何日ぶりかだとのことで、やはり山の天気は難しいんだなと改めて思った。

7月20日
 広河原8:00→大樺沢二俣10:45→八本歯のコル13:30→トラバース分岐14:10→北岳山荘15:10 (所要時間7時間10分)
7月21日
 北岳山荘6:00→北岳山頂7:30-8:00→肩の小屋8:45-9:05→小太郎の分岐9:30→大樺沢二俣11:25-11:45→広河原13:40 (所要時間7時間40分)
 
 広河原へは芦安から夜叉神峠を越えて入った。交通規制で一般車両は芦安市営駐車場(無料)まで、後は山梨交通のバスで入る。(時間表は山梨交通のHP参照)

 芦安市営駐車場への入口(山の神バス停)は人が配置されていたので迷うことは無かった。

 広河原にはアルペンプラザと言う施設がありトイレ、水等は心配ない。
北岳山頂付近からの富士山

 前日早く寝て、朝3時起きで高崎ICから高速に乗る。芦安の市営駐車場まで3時間、6時30分着が計画である。あまりのんびりは出来ない。ところが何と車の燃料のエンプティランプが点灯している。妻の目が三角になる。何とか上里SAまでエンジンは回ってくれて危うくセイフ。高い高速のSAで燃料補給などあまりしたことが無いが、今度ばかりは24時間営業のSAのガソリンスタンドに感謝。先が思いやられる。
 圏央道を日の出ICまで走って一般道を八王子ICに向かう。走り慣れない悲しさでここでまたウロウロして予想外に時間を食う。頼むよ。議論はいいから早く圏央道を中央高速につないでよ!!。
 高速を白根ICで下りて、芦安市営駐車場には数分遅れたがほぼ予定通り到着。しかし6時35分駐車場発のバスは、あわてて登山靴をはいたり持ち物の確認をしている我々を残して無情にも行ってしまった。
 最後のチャンスは甲府駅から来る山の神バス停6時54分のバスのみである。駐車場から山の神バス停までは2〜300mだがかなりの急坂を登り返さなければならない。これを逃してしまうと3時間半はゲートが開かないから、タクシーをチャーターしたって広河原には入れない。北岳を登るより頑張って山の神バス停まで登り何とか間に合った。ここで消費したエネルギーは広河原まで1時間バスに揺られている間に回復できるだろう。この道は自分で運転して行くよりバスに揺られていった方がはるかに楽である。後で知ったが鳳凰登山だと言えば夜叉神峠の駐車場までは一般車両も入れる。その手を使ってバスに先行すれば、夜叉神峠でゆっくり前のバスに乗れたかもしれない。しかしこれはルール違反だからこの手が使えるかどうか保証はできない。バスは立派な大型の路線バスだが乗客は数人しかいなかった。夜叉神峠で少し時間待ちをして8時02分の定刻通りに広河原に到着した。


 野呂川を渡るつり橋の手前から、登山コースの大樺沢を八本歯のコルまで見通すことが出来る。右に頭は雲に隠れていたが北岳の本体も確認できた。今年の雪渓はほとんど解けてしまっているように見える。ここから見ると日本第二の高峰といった威圧感はほとんどない。つり橋を渡り広河原山荘のわきをすり抜けるといよいよ登山開始である。
 沢の下端のだらだら登りとはいえ、初手からイメージよりはしっかりした登りである。2時間ほど登ると沢筋から高木は消え視界がよくなる。登山道の周りは高山植物のお花畑である。目立つのはタカネグンナイフウロやイブキトラノオ、タカネナデシコ、ほかではあまり見られないというミヤマハナシノブなどだが、数え上げればきりが無い。
 大樺沢全体が見通せるようになると、それに添ってかなりの数の登山者があちこち歩いているのが見え、自分の登ってゆくコースが分かる。
タカネグンナイフウロ


ミヤマハナシノブ チシマギキョウ


 先が厳しいのはわかっているので、アプローチでばてる訳には行かない。コンビニで仕込んできた朝食をとり、写真を撮り、休憩をとりながらゆっくり登る。大樺沢二俣ではかなり沢山の人たちが休憩していて混みあっていた。更に少し登って我々も一息入れる。雪渓を渡る風が気持ちいい。大樺沢二俣からは半分以上の登山者が肩の小屋へ行ったようでめっきり人が減る。後ろには少しずつ見えてきた鳳凰三山がほぼ全体見えるようになり、地蔵のオベリスクも頭を出している。
 ここから八本歯のコルはすぐ目の前に見えるが、その勾配の急峻さはかなりのもので、道がどうなっているのかつい首を伸ばしてさぐってしまう。
二俣付近の雪渓と鳳凰三山


 八本歯のコルには右に北岳バットレスの岩壁を見ながら似たような勾配の尾根を、かなりくたびれた細い丸太組みの階段を頼りに登る。適当に展望の良い休憩点があって休みながら登っているうちに八本歯のコル到着である。
北岳バットレス    八本歯のコルから八本歯の頭、ボーコン沢の頭


 初めて北岳に登る二人にとって、遠く高く見えていた八本歯のコルは一つの目標である。あれを越えれば後は平坦な巻き道を北岳山荘まで下るだけだ、と思って登ってくる。ところが北岳はそう簡単には旅を終わらせてくれない。一息もつかせずに大岩累々の先の見えない(ガスのせいだけど)急登が待ち構えている。”え!これ登るの、話が違うんじゃない”と言った感じである。しかし登らない訳けにはいかない。妻の目に泣きが入っている。”やば、限界かな?”。しかしそこはよくしたもので、岩陰にタカネビランジやイブキジャコウソウが咲いていたり、岩ひばりが道案内にやってきてくれたりして思わず疲れを忘れる。”なあ、山登りって人生とおんなじだな”
八本歯のコルからトラバース分岐まで標高差100mの登り


 そしてやっとの思いで北岳山頂と北岳山荘を分けるトラバース分岐、そう巻き道じゃなくて”トラバース”なんだな、これが。
タカネビランジ トラバース道


 のぞき込むとぞっとするような岩壁の心細い”トラバース”道を進み、岩壁が稜線に近づくにつれ、この道は夢のようなお花畑に変わる。そして霧の下に北岳山荘が見えてくる。やれやれ無事到着だ。
 受付てくれた山荘の女性の話だと、前日までの3連休は天候が悪いうえに超満員で、気の毒のようだった、とのこと。我々は10人部屋に似たような夫婦3組と単独の男性一人の7人で、それそれのペアの間には一人分のスペースまでとってもらって、お互いに気を使わなくて済み、ゆっくり休めた。それでも最終的に6〜70人の泊り客が居たのではないだろうか。
 部屋は居ながらにして窓から雄大な富士山を正面に見ることが出来る最高のロケーションで言う事なし。5時の夕食まで牛乳やコーヒーで水分を補給し、布団にひっくり返って休息し、何とか生き返ることが出来た。
トラバース道を抜けて花園へ


北岳山荘到着(中央の立派な建物はトイレ、間違わないで!) 安らぎの花園





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