04.03.16(TUE) 二子山 西上州

 きり絵の会の発表会が近づくと作品のことが気になって他のことに手がつかない。それで絵が進むかというと同じところの堂々巡り、考えてばかりで具体的には何も進まない。まだたった6枚しか切って無いのに、人に見てもらう「作品」を「創ろう」などと思うことが間違いである。しかし見てもらって褒めてもらったりすると嬉しいのである。この歳で小学生みたいに。
 それでも風邪で寝込んだ妻を残して、昨年立岩を一緒に歩いた昔の仕事仲間のOさんと二子山へ出かけた。早一週間はとっくに過ぎてしまったがまだUP出来ずやっと今書いている。

コース:志賀坂トンネル10:00→民宿”登人”横の登山口10:30→股峠11:30→二子山西岳山頂12:15-13:15→鎖場下の大木14:00→送電線鉄塔の尾根の登山口14:50→志賀坂トンネル15:30  (所要時間5時間30分)

国道299号は上州側から行くと志賀坂トンネル出口で交通止めになっている。八丁峠方向へは行けるが秩父へは下れない。(道路法面の工事が行われている)

志賀坂トンネルから登山口の間に駐車場は特にない。トイレは民宿”登人”横の登山口にある。
魚尾道峠付近の尾根から二子山(左が西岳)


 二子山は昔通り民宿”登人”横の登山口から登るつもりで出かけたが、国道299号は志賀坂トンネルの出口で通行止めである。仕方が無いのでトンネル出口に車を置いてそこから歩く。志賀坂峠は前橋から距離的には近いが下久保ダムから先はうねうね道なので結構時間が掛かり、高崎のOさん宅から2時間掛かった。登山口まで30分国道を歩く。かなり下り、帰りは登り返すのかと思うと気が重い。途中2箇所で法面の工事中である。山仕事でお茶飲み中の村の親父さん3人組に会った。”何処へ行くんだ”と言うので”二子山”と言ったら”そりゃ大変だ、だけどまあ好きで歩きに来て急ぐ旅じゃねえからいいんか”と笑われた。裏側に近道の林道があるそうである。


 昔2度ほど登ったことがあり様子は分かっているが、登山口付近から見た二子山はかなりの標高差でそそり立っていて、白い石灰岩の岩壁が城壁のようで、見慣れた日本の山とは一味違う印象を与える。西上州の幾つかのピークと同じように、小振りなくせに派手な山と言えるかもしれない。登山口の脇に股峠の方へ通じる林道が出来ていた。
 最初は沢にそったかなりの急登で、滑り落ちそうな急勾配は股峠まで増す一方である。Oさんを先にするとどんどん行かれてしまうから、私が先で自分のペースで歩かせてもらう。途中でも息を入れたが股峠で一服。なだらかな北面のすぐ近くに林道のガードレールが見えた。ここまで車で来てしまえば山頂を踏むだけなら往復2時間掛からない。東岳に誰か入っているらしく話し声が聞こえた。
二子山西岳山頂


 股峠からは足場も手掛かりもしっかりした岩場登りである。落ちたら痛そうだから注意深く登るしかない。
 山頂は360度の大展望であるが、この日は暖かく春霞が濃くて周囲の山はほとんど見えない。正面の両神山の稜線が薄く見える程度である。しかし二子山に関する限り、この程度の展望でも充分楽しめる。スケールこそ小さいが小気味良く足元からすっぱり切れ落ちた断崖の高度感と周囲の風景は、天狗の子供達の遊び場のように楽しい風景である。
 山頂では食事の後、Oさんを歓迎するために背負ってきたガスストーブでドリップコーヒーを楽しんだ。うららかな春の薄日を浴びてのんびりコーヒーを飲みながら喋っていたら、つい時間の経つのを忘れ、気がついたら1時間たっていた。
 下りは西岳の更に西に続く狭い岩尾根を、小ピークをいくつか越えながら下降点まで40分ほど渡る。足がかり手掛かりはしっかりしているが狭い尾根なので注意深く歩く必要がある。子供の頃ジャングルジムで遊んだ感覚を思い出すが、高所恐怖症の人はちびるかも知れない。
西岳の更に西に続く稜線、ピークの左の水面の反射のように白いのは、石灰岩の採掘で削り取られて平らになった叶山の山頂


西のピーク付近から見た西岳山頂 西のピーク付近から見た西岳と東岳


 下降点から4〜5m程のほぼ垂直の岩壁を鎖を頼りに下ると、怖い岩稜歩きは終わりで緊張から開放される。崖の下にニレ?の大木があってその下でほっと一息つく。
 植林されたヒノキの森の急勾配道を下ると送電線の鉄塔のあるなだらかな尾根に出る。魚尾道峠である。ここから送電線の鉄塔の付近まで尾根から沢底まで綺麗さっぱり皆伐されていて、以前は杉林で展望が利かなかったこの尾根も、今では何処からでも越えてきた二子山の稜線を見渡すことが出来る。いつの間にか良い気分で歩ける展望の尾根に変わってしまった。尾根から志賀坂峠へ抜ける道があるらしく分岐点に案内があったが、歩いた事が無いので用心して尾根を国道まで下った。登山口から下山口まで誰にも会わなかった。
ニレ?の大木


 一休みして国道を志賀坂トンネルまで登り返す。”誰か車に乗せてくれないかな”なんて言いながら歩いていたら、今朝の山仕事の親父さんの一人が軽トラックで登ってきた。”しめた、乗せてもらおう”と二人で精一杯の笑顔で手を振ったら、向こうもニコニコしながら手を振って止まらずに行ってしまった。向こうはこちらが歩くのを楽しんでいることを疑っていないんだからしょうがない。山仕事の現場まで登っていったら、今朝の親父さんたちが又お茶を飲んでいた。”何処へ行ってきたい”と又聞くから、”西岳”と答えたら”まあ無事で何よりだ”と笑っていた。危なっかしい爺達だなあと思っていたのだろうか。”お茶ばっかり飲んでるじゃん”と憎まれ口をきいてやった。
 とにかく無事に志賀坂トンネルにたどり着いた。懸念した国道登りもそれほどダメージも無く歩き通せた。やれやれ良く歩いた。帰は鬼石の桜山温泉で汗を流してきた。





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