03.12.04(THU) 茂来山 信州東部(佐久)

 手軽に登れるいい山なんて虫のいいことを言いながら、インターネットで検索していた妻が佐久の茂来山を見つけた。長野県警の中嶋 豊さんのHPにイラストマップが載っていて”できればあまり沢山の人に登ってほしくない、とっておきの山、故郷の心の山”というコメントがある。浩宮様も登ったという保証つきのいい山らしい。これこれ!!。山渓のマイカー登山便利マップにもちゃんと出ていて、山深くもなく道に迷う心配もなさそう。
コース:槙沢登山口10:00→ナラの大木の尾根11:00→山頂11:50-12:30→槙沢登山口13:45  (所要時間3時間45分)


国道141号から南佐久大橋で千曲川を渡って武州街道を十国峠へ向かう。2kmほどで槙沢橋を渡ってすぐ右手に茂来山への案内板と林道入り口がある。登山口へは舗装された林道から三叉路を左手に戻るように非舗装の林道へ入るが、案内板がある。

駐車場:10台程度は駐車できる広場がある。トイレはない。
茂来山山頂 1718m
 道に迷うことはなさそうなどと気楽に出掛けて迷ってしまうところが相変らずドジなところ。雨や曇りの日が続いてやけに暖かい冬である。前橋は晴れが2日続いて3日目の木曜は群馬、長野ともお日様マークの天気予報である。それ行けっと早起き?して7時30分に出発。予定どうりの快晴にゆとり気分で高速に乗る。
 前橋側から見ると浅間は見えるがガスっていて裾に霧のような雲が漂っている。トンネルを抜けて佐久平に出て吃驚。浅間山にも八ヶ岳にも雪雲が押し寄せていて山頂は雲の中。楽しみにしていたすっきりした山々の展望は期待できそうもない。茂来山と思しきあたりの山々はまだ青空の下だが雪雲は次々と押し寄せて来ていて予断は許さない状況である。
 臼田町付近のコンビニで休憩、水や食糧を買い込む。マラソンをやっているタレントの長谷川理恵さんのテレビを見てたら、走る前は吃驚するほど大量の甘いもの(炭水化物)を採っていて、燃料が切れたら走れないから、と言っていたので、燃料、燃料、と大きな薄皮のお饅頭も。(いつだって満タンだろ。)
 この道は何時も渋滞のイメージが強くまだまだ先だよなんて言ってたら、意外と順調であっという間に南佐久大橋を通り過ぎてしまいUーターン。十国峠へ向かったがしばらく走っても林道入り口がないので今度は用心しすぎで、近くの村落に入り込んで道を聞いたらすぐ先ですよと丁寧に教えてくれた。槙沢橋を渡ってすぐ右手に、中嶋 豊さんが書いている通りの案内が見つかった。
 
 林道に入って別荘地のようなところをしばらく走ると右写真の案内がある。走りながらこの案内を見た僕は500m先に絵のような三叉路があって人は左、車は右に行けばいいんだなと理解した。500mほど先に分岐があったが車は右と信じている僕は疑いもせず、何kmも先まで、舗装が切れてもがたがたと走り続けた。明らかに道が下り続けていることを確認して、間違いを認めざるを得ず又Uターン。”案内に書いてあるでしょ。500m先左折ですよ、左折!”。”それが余計なんだよ、500m先には又ご丁寧な案内があるんだからさ!”。これはここを歩行して登山する人のためだけの案内になってます。車で来る人は見ないで!!

 舗装された林道から左折すると非舗装路になる。平坦な走りやすい道だが一ヶ所左折してすぐ急坂で狭くぬかるんでいて、その上右手からもう一本の林道が分岐し、そこで何か工事でもやっているのかダンプが走ったような轍が深く入っている場所があり、雨の後など乗用車では難儀しそうである。
 登山口の駐車場は広々していて問題なし。歩き始めると最初は沢沿いのなだらかな登りで、落ち葉でふかふかの傷みのない道を登る。沢の水の透明度は高く気持ちがいい。沢の流れがきえるあたりから急勾配をジグザクに登る。霜柱が凍り付いてストックの先がガチガチいうが、乾燥しているせいか落ち葉が載っているせいか、滑って困ることもない。登りきったところがナラの大木のある尾根である。時間的にはこの辺がコースのほぼ真ん中に当たるようだ。尾根も広いので一休みである。

 とにかく今日は寒い。昨日までの暖冬が嘘のようだ。さすような風に、風の当たる右肩と腕が冷えるので、めったに山には持ってこない厚手のフリースのジャケットを引っ張り出して着込む。このナラの大木のある尾根から先に見えているピークの上までがこの山の核心部で、こけたら唯ではすまない急登が2箇所ほどある。ただ潅木がたくさん生えていて手がかり足がかりは十分なので用心深く登るのみ。北面の落ち葉の上はみぞれが凍りついて真っ白になっていた。
 このピークから山頂までは意外と短くすぐに霧久保沢からの登山道と合流し、山頂に至る。山頂ではフリースの上から冬用のヤッケを着込んで丁度良かった。
ナラの大木の尾根
 山頂に立つと360度の大展望が得られる。ただし本当に山頂に立つまで木々にさえぎられて展望はほとんどない。この日は残念ながら八ヶ岳も浅間山も中腹から上は押し寄せる雪雲に覆われて見ることができなかった。双眼鏡で見ると南八の左の稜線の向こうに南アルプスの駒ケ岳や北岳が見えるが雪雲はついておらず、この周辺だけが割りを食った感じである。上州側は青空で晴れ渡っており荒船山から妙義山まで良く見えた。奥秩父の両神山もちょうど全体が見える位置にある。
 山頂は狭く小さな祠が2つと、かわいらしい浩宮様登山記念碑がある。s57(1982)年の8月20に登っている。

 山頂で食事をしながら八ヶ岳が顔を出すのを待ったが雪雲は次々と押し寄せ状況は悪くなるばかり。その内浅間山のほうからこちらにも雪雲が押し寄せてきて目の下を霧になって流れてゆく。はらはらと風花が舞い始め陽も翳ってきた。やむなく退散。下りも急な割りに歩きやすく、荒れていない山道のよさを十分味わうことができる。この日駐車場に駐車していたのは私たちだけで山でも誰にも会わなかった。
 帰り国道141号まで出たら、驚いたことに浅間山の雪雲は嘘のように消えて山頂まですっきり見えている。天気予報が晴れのとき、赤城山でもよくある冬の天気のパターンである。八ヶ岳はまだ雲の中で、茂来山は山頂だけが薄くたなびく雪雲の中だった。
 往きはどれが茂来山か分からなかったが、帰りは堂々と佐久町の山の上にそびえる三角形の山影を、佐久市のほうからまで確認することができた。  
上州側の風景:雄大な雪雲の下ではさしもの荒船山もかわいらしく見える。その先の山影は榛名山。雪雲は国境の山を越えると勢いをなくし上州の空に溶け込んでゆく。

 茂来山は歩行時間だけなら私たちの足で3時間ちょっとで往復できる山だが、標高は1700mを超える。榛名山よりはるかに高く、赤城の黒檜に近い高峰である。しかし肩先まで車で行ってちょっとピークだけ登ってくると言った感じを与えない。山麓から登り、苦労して山頂に立って下ってくる山登りの標準的なパターンをちゃんと備えた山である。展望もいいし、清冽な沢もある。寒さも半端じゃない。下って下から眺めても満足感の持てる、故郷の山を荒らされる中嶋 豊さんには申し訳ないが一押しのいい山である。







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